海外文学

『ドン・カズムッホ』マシャード・ジ・アシス(1899)

ドン・カズムッホ (光文社古典新訳文庫) 作者:マシャード・ジ・アシス 光文社 Amazon 2023/6/28〜7/5計:6日間 6/28水 p.73(17章)まで やっぱアシスの文章くそ好きだわ〜〜一人称でガッツリ読者に語り掛けてくる姿勢はリスペクトル『星の時』なんかにも受…

『ブラス・クーバスの死後の回想』マシャード・ジ・アシス(1880)

ブラス・クーバスの死後の回想 (光文社古典新訳文庫) 作者:マシャード・ジ・アシス 光文社 Amazon 2021/6/10~~2022/6/17 1章まで(p.16) やばい、これめっちゃ好み そもそも死後の回想という時点で人を喰っているが、「読者へ」の序文や巻頭の言辞からし…

『ディフェンス』ウラジーミル・ナボコフ(1930)

ディフェンス (河出文庫 ナ 2-5) 作者:ウラジーミル・ナボコフ 河出書房新社 Amazon ナボコフの第3長編(ロシア語時代) 2022/7/30〜9/28水 7/30 ずっと前からナボコフの著作のなかで特に読みたいと思っていた本作がこのたび文庫化されたので即購入し、『夕…

『酔いどれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行』ヴェネディクト・エロフェーエフ

酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行(いき) (文学の冒険シリーズ) 作者:ヴェネディクト エロフェーエフ 国書刊行会 Amazon ヴェネディクト・エロフェーエフ『酔いどれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行』(1970) 2022/7/24-29(4日間) 7/24 日 奈倉有里『夕暮…

『真っ白いスカンクたちの館』レイナルド・アレナス

真っ白いスカンクたちの館 作者:レイナルド・アレナス インスクリプト Amazon レイナルド・アレナス『真っ白いスカンクたちの館』(1980年) 2023/12/4〜12/28(計18日) 第一部 プロローグとエピローグ 12/4(月) 〜p.36 文章ヤバい。執拗な繰り返し。意識の…

『夜になるまえに』レイナルド・アレナス

www.kokusho.co.jp 夜になるまえに 作者:レイナルド アレナス 国書刊行会 Amazon レイナルド・アレナス『夜になるまえに』2023/11/20~12/1(9日間) 2020/12/11 最初っからやばすぎる。文章から感じる圧倒的なエネルギー。書くために生まれてきた人間、書く…

『アムラス』トーマス・ベルンハルト

アムラス 作者:トーマス・ベルンハルト 河出書房新社 Amazon 「アムラス」と「行く」という中編小説2つを収録 2023/11/6〜17計8日間 「アムラス」 1964年 『凍』に次ぐベルンハルトの第2作目 計4日間 11/6(月) p.7~p.26 文章がヤバい。長いし修飾関係もわか…

『土台穴』アンドレイ・プラトーノフ

土台穴 (文学の冒険シリーズ) 作者:アンドレイ プラトーノフ 国書刊行会 Amazon アンドレイ・プラトーノフ『土台穴』(1930年執筆) 2024/1/9〜19(計10日間) 1/9(火) p.3~23 自然の擬人化が多め? 抑制的だがやや独特な文体。生きることの哀しみ、憂鬱さ…

『ハイファに戻って/太陽の男たち』ガッサーン・カナファーニー

ハイファに戻って/太陽の男たち (河出文庫) 作者:カナファーニー,ガッサーン 河出書房新社 Amazon 2023/10/20~26計6日間 10/20(金)10/22(日) 太陽の男たち(1963) バスラ(イラク)からクウェイトへの密入国を試みる三人の男たち。彼らをタンクの中に隠し…

『オデュッセイア』ホメロス

オデュッセイア (西洋古典叢書) 作者:ホメロス 京都大学学術出版会 Amazon 2023/4/17~5/24(計21日) 23/4/17月 第1歌 山本直樹『ありがとう』の序盤みたいな設定。父が長らく家を空けているうちに、女を狙って男どもが我が物顔で家を占領し、子供は困り果…

『丁子と肉桂のガブリエラ』ジョルジェ・アマード

丁子と肉桂のガブリエラ 作者:ジョルジェ アマード 彩流社 Amazon 2023/7/7〜2813日間 7/7金 p.30までブラジル文学・ポルトガル語圏文学強化期間の一環として、(数ヶ月前に買っておいたものを)読み始めた。三人称。章題からして饒舌。さっそく土地の守り神…

『響きと怒り』ウィリアム・フォークナー

響きと怒り (上) (岩波文庫) 作者:フォークナー 岩波書店 Amazon 2023/2/3〜2/16(計10日) 【上巻】 2/3金〜2/9木(計6日) ・第一章2/3金 p.7〜p.6333歳の白痴ベンジー(本名ベンジャミン?)による語り。名高い実験的な語りってのはこれかぁ〜 たしかにこ…

『ブラジル文学傑作短篇集』アニーバル・マシャード ほか

2023/6/9金~6/14水5日間 なんやかんやで〈ブラジル現代文学コレクション〉を買うのも読むのも初めて。。 まずは入門によさそうなこのアンソロジーから。 6/9さいきん(大)長編ばっかし読んでるな~~だから途中で息切れ起こしたり放置したりするんだよな~…

『閉ざされた扉』ホセ・ドノソ

2023/9/14~22(5日間) 9/14木 朝 休暇 不倫する父親、それに嫉妬して精神を病む母親、両親の不仲を鋭敏に感じとる息子、退廃的で不穏な家族……初っ端からめちゃくちゃドノソ的な短編。荒廃した建物というモチーフも明らかに家族の崩壊と連関している。 上流…

『ドン・キホーテ 前篇』(2)セルバンテス

これの続き 第2巻を読んだ。 ドン・キホーテ 前篇2 (岩波文庫) 作者:セルバンテス 岩波書店 Amazon 1巻でまだ第3部終わってなかった!普通に続いてた 第22章。遂に国家権力に歯向かってて草王様にかしずくのが騎士だとか言ってるのに・・・ガレー船へ引きた…

『黄金の少年、エメラルドの少女』(4.)イーユン・リー

黄金の少年、エメラルドの少女 (河出文庫) 作者:イーユン・リー 河出書房新社 Amazon ほぼ1年ぶりに、読み残していた短篇5つに手を付けて1冊読み切った。 ・女店主 やはり壮齢の女性の人生を物語ることにかけてイーユン・リーの右に出る現代作家はいないと思…

『縛られた男』(3.)イルゼ・アイヒンガー

縛られた男 作者:イルゼ アイヒンガー 同学社 Amazon 続きです。後半の6編を一気に読みました。 ・鏡物語 さあ行きなさい!今がそのときよ!皆呼ばれて行ってしまった。行きなさい、あの人たちが戻ってくる前に、あの人たちのささやき声がまた大きくなる前に…

『マクベス』W. シェイクスピア

シェイクスピア全集 (3) マクベス (ちくま文庫) 作者:W. シェイクスピア 筑摩書房 Amazon 『ドン・キホーテ 前篇』(1605)の発表年とほとんど同時期にシェイクスピア四大悲劇が書かれていたと知ってモチベが上がったので、ちょうどこないだ買っていた『マク…

『ドン・キホーテ 前篇』(1)セルバンテス

ドン・キホーテ 前篇一 (岩波文庫) 作者:セルバンテス,牛島 信明 岩波書店 Amazon 岩波文庫の『ドン・キホーテ 前篇』第1巻を読んだ。序文と第1部〜第3部が収録されている。 京都文フリへ行く阪急電車のなかで読み始めた。まだ序文の途中だが、訳注によると…

『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』(1)ジュノ・ディアス

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ジュノ ディアス 新潮社 Amazon 4年くらい前に買って積んでいたのを、ふと読み始めた。 第2章まで読んだ。 ・第1章 1章おわり。約70/400ページ 文章はかなりポップで読みやすい。アメリカ的…

「スペシャリストの帽子」「ザ・ホルトラク」ケリー・リンク

スペシャリストの帽子 (ハヤカワ文庫FT) 作者:ケリー リンク 早川書房 Amazon 『マジック・フォー・ビギナーズ』の表題作しかまだ読んでいないが、中古で注文した第一短編集『スペシャリストの帽子』が届いたので、こちらの表題作も読んでしまった。 スペシ…

「マジック・フォー・ビギナーズ」ケリー・リンク

マジック・フォー・ビギナーズ (ハヤカワepi文庫) 作者:ケリー・リンク 早川書房 Amazon 数年前に、今はなき地元の駅前大型書店で購入してからずっと積んでいたのを、知人の度重なる激推しもあり、ようやく表題作を読んだ。 ・「マジック・フォー・ビギナー…

『縛られた男』(2)「夜の天使」イルゼ・アイヒンガー

hiddenstairs.hatenablog.com こちらの記事を投稿してから数ヶ月放置していたが、アイヒンガーの気分にふとなったので1編「夜の天使」を読んだ。 ・夜の天使 文章がヤバすぎる。アイヒンガーやっと本気出してきたか……って感じ 冒頭の段落がめっちゃヤバいの…

『車輪の下』(1)ヘルマン・ヘッセ

義務教育で読んだ「少年の日の思い出」を除けば、初ヘッセ。「お前好きそうなのに読んでないの意外」と複数名に言われながらもここまで通ってこなかった。 『荒野のおおかみ』とか『ガラス玉演戯』とかを本当は読みたいのだけれど、そうした後期の名作をじゅ…

『縛られた男』(1)イルゼ・アイヒンガー

20世紀のユダヤ系オーストリア作家であるイルゼ・アイヒンガーの短編集で唯一邦訳されている『縛られた男』を借りてきた。 縛られた男 作者:イルゼ アイヒンガー 同学社 Amazon じぶんが愛読している読書ブログのひとつである『もれなくついてくる何か』にて…

「黒い豚の毛、白い豚の毛」閻連科

書店で閻連科の新刊『心経』をパラ読みして「世界五大宗教の信徒たちが一堂に会して綱引きをする」的なあらすじにめっちゃ面白そう!!!となり、しかし長篇に手を出すのにビビってまずは短篇集から……ということで、図書館で自薦短篇集『黒い豚の毛、白い豚…

『ヴァインランド』(7)トマス・ピンチョン

hiddenstairs.hatenablog.com やや時間が空いてしまいましたが、12章をやっと読みました。 12章 (pp.315-383) <あらすじ> (フレネシに撃たれて?)サナトイドとなったウィード・アートマンの遍歴 84年、カリフォルニアの北の奥にある心霊スポット〈ブラ…

『別荘』ホセ・ドノソ

「わからない、わからないわ。その話には分厚いベールを掛けておきましょう」(p.60) 現代企画室から、ラテアメ邦訳界のシバニャンこと寺尾隆吉氏による翻訳で出ているホセ・ドノソ『別荘』を読んだ。550ページ、鈍器と呼べる小説を最後まで読み切れたのは…

『エバ・ルーナのお話』(1)イサベル・アジェンデ

エバ・ルーナのお話 (文学の冒険シリーズ) 作者:イサベル アジェンデ 国書刊行会 Amazon これまでに読んだアジェンデは、岩波文庫『20世紀ラテンアメリカ傑作選』に入っていた「ワリマイ」のみ。 『精霊たちの家』に挑む前に、こちらの短篇集に手を出してし…

「物語の終わり」レイナルド・アレナス

世界文学のフロンティア〈5〉私の謎 作者:今福 竜太 岩波書店 Amazon 邦訳があるアレナスのうちで最高傑作だと噂の短篇「物語の終わり」をやっと読んだ。岩波書店『世界文学のフロンティア 5「私の謎」』収録。杉浦勉訳 (本書ではレイナルド・アレーナス表…