ラテンアメリカ文学

『別荘』ホセ・ドノソ

「わからない、わからないわ。その話には分厚いベールを掛けておきましょう」(p.60) 現代企画室から、ラテアメ邦訳界のシバニャンこと寺尾隆吉氏による翻訳で出ているホセ・ドノソ『別荘』を読んだ。550ページ、鈍器と呼べる小説を最後まで読み切れたのは…

『エバ・ルーナのお話』(1)イサベル・アジェンデ

エバ・ルーナのお話 (文学の冒険シリーズ) 作者:イサベル アジェンデ 国書刊行会 Amazon これまでに読んだアジェンデは、岩波文庫『20世紀ラテンアメリカ傑作選』に入っていた「ワリマイ」のみ。 『精霊たちの家』に挑む前に、こちらの短篇集に手を出してし…

「物語の終わり」レイナルド・アレナス

世界文学のフロンティア〈5〉私の謎 作者:今福 竜太 岩波書店 Amazon 邦訳があるアレナスのうちで最高傑作だと噂の短篇「物語の終わり」をやっと読んだ。岩波書店『世界文学のフロンティア 5「私の謎」』収録。杉浦勉訳 (本書ではレイナルド・アレーナス表…

『継母礼讃』マリオ・バルガス=リョサ

「ママのことさ、パパ、ほかのだれもテーマになんかならないよ」と、フォンチートは手を拍った。「タイトルのようなものもつけたよ。『継母礼讃』て言うんだ。どう?」「なかなかいいね、とてもいい題だね」彼はほとんど考えもしないで、とってつけたように…

『別れ』フアン・カルロス・オネッティ

別れ (フィクションのエル・ドラード) 作者:フアン・カルロス オネッティ 発売日: 2013/10/01 メディア: 単行本 併録されている2つの短篇はすでに読んで記事を書いたが、表題作の中編「別れ」をようやく読み終えた。あ〜長かった。 ・別れ ("Los adioses", …

「生命線」「最後の恋」「女王人形」「チャック・モール」カルロス・フエンテス

『フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇』の他四篇を読んだ。 生命線 銃殺されるのを待つだけだった革命軍兵士の4人が監獄を脱出し、再び捕らえられ死ぬ リーダー格で主人公のヘルバシオ・ポーラの感情の動きが目まぐるしく身につまされる。 こういうザ・…

「アウラ」カルロス・フエンテス

hiddenstairs.hatenablog.com 前記事に続き、岩波文庫のフエンテス短篇集を読んだ。 ・アウラ 「君」……二人称小説だ!しかも『子供の領分』のような現在形 バス停でバスが停車せずスピード落とすだけってマジかよ。メキシコ…というか海外ではそれが一般的な…

「純な魂」カルロス・フエンテス

ラテンアメリカ文学好きと言っておきながら未だほとんど読んだことがないフエンテス。この作家の名を初めてちゃんと認識したのは、セサル・アイラ『文学会議』──主人公のマッドサイエンティストが尊敬する作家フエンテスのクローンを大量生産して世界征服を…

『コレラの時代の愛』(1)ガブリエル・ガルシア=マルケス

コレラの時代の愛 作者:ガブリエル・ガルシア=マルケス 発売日: 2006/10/28 メディア: 単行本 なんか気分で借りて読み始めた。もともと読みたいとは思っていた。 大滝瓶太さんの好きな海外作家15人noteの1位でこれが紹介されてるのを久しぶりに読み返したの…

「失われた花嫁」フアン・カルロス・オネッティ(『別れ』収録)

hiddenstairs.hatenablog.com 前記事に引き続き、『別れ』に収録されたもう1つの短編「失われた花嫁」(1968)を読んだ。 「この恐ろしい地獄」で、そのレトリカルで難解な文章に驚き感動したが、この短編では文章の凄さというより「語り」が凄いと言ったほ…

「この恐ろしい地獄」フアン・カルロス・オネッティ(『別れ』収録)

水声社の〈フィクションのエルドラード〉から寺尾隆吉訳で出版されている、オネッティの『別れ』を最寄りの書店で衝動的に買った。ウルグアイを代表する作家のひとりらしい。初めて読む。 まずは、100ページ弱の表題作ではなく、併録されている20ページほど…

『襲撃』レイナルド・アレナス

面白かった! <本文以外> まず表紙の帯から面白い。 「おそらくは20世紀に書かれた最も壮絶な本だ。」→ま〜た大げさな推薦文だなぁ 「──レイナルド・アレナス」→って著者本人の自画自賛かーいwwww 帯文でここまで笑わせてくれるアレナスほんとちゅき♡ でも…

『悪い娘の悪戯』(4)マリオ・バルガス=リョサ

テンポが良い。つまり場面や時制を省略する技術が高いことが、この面白さ、エンタメ性、ページターナー具合の主たる要因ではないか。1シーンでも10ページ以上も長々続けることはおそらくほとんど無く、どんなに重要なシーンも下手したら1ページ未満で片付け…

『悪い娘の悪戯』(3)マリオ・バルガス=リョサ

p.220 4章おわり。 フクダ怖すぎワロタ。自分の女が旧友とまぐわっているのを肴に自慰をする…そういうとこやぞ日本人!(主語がデカイ) そして友人退場ノルマも達成。哀しいなぁ……RPGのように、「僕」のもとに思い出の品が増えていく(”だいじなもの"は仕様…

『悪い娘の悪戯』(2)マリオ・バルガス=リョサ

7/16 2章おわり。ちょうどp.100まで。 ほんと「悪い娘(ニーニャ・マラ)」だなぁ彼女は。次の章では物語をまた別の国に移してどう展開し、ニーニャ・マラはどんな形で主人公の前に姿を現してくれるのか楽しみで仕方ない。 エンタメ性抜群とは言っても結構政治…

『悪い娘の悪戯』(1)マリオ・バルガス=リョサ

7/15 読み始めた。~64ページまで 第1章 チリからやってきた少女たち 面白い!文章が淀みなくすいすい入ってくる。ディテールの描写のためにかなりカタカナの固有名詞が盛り込まれているのに読みにくくなく、流し読みでも構わないからとにかく先を読みたい!…

『孤児』フアン・ホセ・サエール

モルッカ諸島 インドネシア 赤道付近 オーストラリアの北 西へ向かって航海している?どこから出発したのか 老人が数十年前の体験談を語る……という形式には、「絶対主人公は大人になる前に死ぬぞ……それで語りの位相が次元の狭間へと転落するぞ…」と身構えて…

『わたしの物語』セサル・アイラ

おっ、アイラの小説にしては"ふつう"に事が運ぶな?と思っていたら数ページほどでテクストが意味不明というガーターに落ちた。 この人の文章はシュルレアリスムでも幻想文学でも不条理小説でもなく、怪文書。 いやこれ『文学会議』収録の2作品よりぶっ飛んで…

『めくるめく世界』レイナルド・アレナス

2019/11/23読了 最初の1章が人称を変えて3連続で続くところ、ここがハナっから最高だった。アレナスを読んでるって感じ。 p.50~100あたりまで。メキシコの港に幽閉され、出航してから少しダレてきた? 如何せん牢獄に入れられすぎじゃないですかね…作者自…