2023/2/23〜28(計4日)
2/23木 〜p.56
2/25土 ~p.106
ヨイヨルさん主催のモクリ読書会「良い夜を読んでいる」で読み進める
2/27月 ~p.240
「別にそこまで心配してるわけじゃないけどな」
「はは。それツンデレ?」
若月は穏やかに笑う。その言葉も信じられた。 p.120
「その言葉も信じられた」
「中学は別々だったんだな」
「もちろん。家は近かったけど、住んでるところが学区境の緩衝地帯で、進学先が二校から選べたんだ。僕が、若月さんとは違うほうを選んだんだよ」
「付き合いきれなかったからか」
「付き合いきれなかった自分を見るたび思い出すからだよ」
中学時代は平和だった。おかげで想い出はひとつもないと糸井は続けた。 p.212
「……せめてもう二年ばかり精通が早かったら、違う流れもあったのかなぁ」 p.214
「糸井、お前はどうして動かない? ローコのことが好きなんだろう」
「それは昔の僕だ。若月さんのことが好きだった僕はもういない。なのに、昔の僕が好きだった若月さんは今もいるんだ。ひどい話だよね」 p.220
2/28火 ~p.306
読み終えた。
とても読み応えのある奥深い作品だなぁと感心しながら読んでいたが、終わり方が肩透かしで残念。
サブキャラがみんな好き。糸井はもちろん、友人ふたりも、先輩ふたりも。メインの亡霊ふたりも結構好きだったんだけど、あの終わり方ではけっきょくなんやかんやでズルズルとヘテロ相棒関係が続いてしまうと思うので、そうなると応援はできない。
男主人公の「高校生のうちに1人殺すことが目標」の殺人志願者設定はすげぇと思った。
「探偵志願者と殺人志願者の青春ミステリ」ときいて、無意識に、どうせ男子側が探偵志望なんだろと思っていたが、ここで最初にいい方向に裏切られ、出オチでもなく、グイグイと物語に引き込まれていった。名探偵に憧れる若月ローコは、嫌いではないけど、わりとありきたりなキャラクター造形だとは思う。やっぱり個人的には高橋のほうが面白い。彼にはぜひとも殺してほしかった・・・。
『亡霊ふたり』を読んだ1年後にようやく『夏季限定トロピカルパフェ事件』読みました。この2作の共通点を指摘するひともいるからです。
ただ、『亡霊ふたりと比較すると、『夏期限定~』は〈小市民〉シリーズというシリーズものの2作目(「続編」)であることが決定的に重要だと思いました。1作目で提示された《シリーズ》としての(メインキャラふたりの)関係の方向性をまるごとどんでん返しでへし折ってくれたからこそ、わたしにぶっ刺さった。たほう『亡霊ふたり』は非-シリーズものの単体作品、あるいは「これからシリーズものがはじまりそうな1作目」でありながら同時に「ぜったいに続編が書かれてはいけない作品」です。
こうして整理すると、わたしにとって『夏季限定トロピカルパフェ事件』と『亡霊ふたり』はやはり対照的な作品であるように思えます。(むろん、「対照的」であることと「共通点がある」こと、「相似的」であることは排反でなく、しばしば容易に両立できます)
『亡霊ふたり』は、続いてはならなかったはずのふたりの関係が、それでも続く余地をもってしまったところで終わる作品。(ゆえに「作品」のかたちで続きがあってはならない)
『夏期限定トロピカルパフェ事件』は、続いていくはずだったふたりの関係が、しかしいったん途絶えてしまったところで終わる作品。(ゆえに〈シリーズ〉としては続きがなければならない)
『夏期~』のわたしのなかでの評価は、しゃらくさいことに〈小市民〉シリーズの続編を読んでからでないと定まらない部分があります。が、とりあえず暫定では、上のような図式的整理によって『夏期~』はとても好きで、『亡霊ふたり』は惜しくもあと一歩好きになりきれなかった、ということになります。これは(初読を)読み終えた時点での評価であり、むしろ1冊を通して楽しんでいた時間が多いのは『亡霊ふたり』だったと思います。
終始かなり面白いと感心しながら読み進めてラストでこれじゃない!となった『亡霊ふたり』と、中盤後半にかけて うーん微妙……厳しいか……と顔をしかめながら読み進めてラストでうおおお最高!となった『夏季限定トロピカルパフェ事件』、やはりわたしのなかではいろんな観点でキレイに対照的というかもはや対称・鏡像関係にあるような2作品、という位置付けがかたまりつつあります。