日本文学

「兎」「アカシア騎士団」金井美恵子

愛の生活・森のメリュジーヌ (講談社文芸文庫) 作者:金井 美恵子 発売日: 1997/08/08 メディア: 文庫 東京でフォロワーさんとオフ会したときに頂いた本 金井美恵子は自分からは読まないだろうな〜と思っていたのでありがてぇ 表題作ではなく、特にオススメさ…

『スワロウテイル人工少女販売処』(2)籘真千歳

hiddenstairs.hatenablog.com ↑の続き 第1部第2章(p.90)まで読んだ。 自治区の大半の人間と人工妖精は、世界一の福祉に守られ、時間を持て余している。(中略)憂いのない都市。安寧と平穏と平等と充実の詰まった二十八万区民だけの玉手箱。 p.71 お手本の…

『スワロウテイル人工少女販売処』(1)籘真千歳

スワロウテイル人工少女販売処 作者:籘真千歳 発売日: 2013/09/30 メディア: Kindle版 akosmismus.hatenadiary.com SF研の机に平積みされていたときから気になってはいたが、読もうと決心するきっかけは、みかんさんのおすすめのSF小説リスト↑に載っていたか…

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』桜庭一樹

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫) 作者:桜庭 一樹 発売日: 2012/10/01 メディア: Kindle版 kageboushi99m2.hatenablog.com 早速、soudaiさんの長篇ベスト100に入っていて未読だった桜庭一樹『砂糖菓子の弾…

「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」柴田勝家

雲南省スー族におけるVR技術の使用例 (早川書房) 作者:柴田 勝家 発売日: 2018/07/20 メディア: Kindle版 サークルの課題図書なので読んだ。20ページほどの短編 (上記Kindleではなく初出のSFマガジンで読んだ) 柴田勝家さんの著作を読むのは初 特段にこ…

「回転する動物の静止点」千葉集

proxia.hateblo.jp 千葉集さんのブログ「名馬であれば馬のうち」は前から読者登録して読んでいたのだが、先日投稿されたこちら↑の記事が特にめちゃ良くて、そういえばこの人SF短編の賞とってるらしいなー読んでみよっかな〜〜 という明瞭な動線で、その短編…

『推し、燃ゆ』宇佐見りん

読む前から薄々わかってはいたが、案の定じぶんがいちばん苦手なタイプの小説だった。所謂「現代の若者の感性を生々しく描く」系で、表現したいことが(全体を通しても、場面場面でも)わかり易く、それをお行儀よくこなせている優等生純文学。時代の要請で…

『旅する練習』乗代雄介

Twitterで「生き方の問題」を激推ししている人を見かけて文芸誌で読んでから、私のなかで乗代雄介はそこそこ興味のある作家になり、芥川賞候補になった次作「最高の任務」も読んだ。 興味があると言っても、2作ともめちゃくちゃ好きなわけではなく、好きな点…

「蟹」庄野潤三

2/26 庄野潤三「蟹」を読んだ。 海辺の宿にバカンスに行く5人家族の話。 語りの視点?がふわふわしている。対象に目を向ける(描写する)順番の独特さというか。「〜したり、〜したり」といった反復・並列の言い回しが心なしが多い気がする。蟹の「往きつ戻…

「ナチュラル・ウーマン」松浦理英子

河出文庫の松浦理英子『ナチュラル・ウーマン』に入っている3つの作品のうち、表題作だけを読んだ。 1なんだか少女マンガか、女性作家のサブカル青年漫画でありそうな雰囲気の話だなぁとしか思わない。男の人に心を寄せられない私が出会った「運命の人」……!…

『最愛の子ども』松浦理英子

知り合いから「松浦理英子の『ナチュラル・ウーマン』は大傑作だから是非とも読んでほしい」と薦められ、そのときちょうど出張をしていたので地域の本屋を探して入店した。それほど大きな書店ではなく、敷地面積の半分はCDやDVDに占められているような店だっ…

「プールサイド小景」庄野潤三

庄野潤三『プールサイド小景・静物』新潮文庫 プールサイド小景・静物 (1965年) (新潮文庫) 作者:庄野 潤三 メディア: 文庫 こないだ大阪梅田から徒歩圏内の詩歌中心の古書店「葉ね文庫」の100円ラックで大量に買ったうちの1冊。「プールサイド小景」って名…

『世界泥棒』(1)桜井晴也

31ページまで(239ページ中) web上の個人ブログで読める『愛について僕たちが知らないすべてのこと』と今のところほぼ同じ感じ。文体とか雰囲気とか なんだろう、ジュブナイル100%というか、「エモい」の権化というか、現代日本の若者(学生)の世界感覚と…

「症候群」大滝瓶太

『徳島文學 第三号』収録 大滝さんの書いた小説(短編しか読んだことがない)で、数理要素があからさまに出てこない、いわゆるふつうの"純文学"を読んだのはこれが初めてだと思う。読み味としては、noteやはてなブログで書いているエッセイ等の記事に近い。 …

「花ざかりの方程式」大滝瓶太

『SFマガジン2020年8月号』掲載これは……すごいな。かなり好き。 めちゃくちゃパワーズっぽい。というか、『ガラテイア2.2』しか読んだことがない(しかもまだ途中)ので、要するにガラテイア2.2っぽい。 ひとつの発想とか思考実験で勝負しているのではなく、…

「クチュクチュバーン」吉村萬壱

文春文庫『クチュクチュバーン』の表題作を読んだ。 うーん、ぶっとんだ小説とは聞いていたが微妙。 たしかに書かれている内容はかなり異常ではあるけど、理解の埒外ではなく、むしろ親切でとっつきやすい印象。 ちゃんと小説的に数名の登場人物を描写して再…

「象の消滅」「カンガルー通信」村上春樹

・象の消滅(『象の消滅』収録の同名の短篇)読了日:5/8読書会の課題本で読んだ。『風の歌を聴け』以来、数カ月ぶりの村上春樹。 ストーリーはシンプル、文章は相変わらず読み易く、これぞ村上春樹の短篇って感じ。 ちょっとした非現実っぽい出来事が起きて…

「パン屋再襲撃」村上春樹

短篇選集『象の消滅』(黄色い本)収録の短篇「パン屋再襲撃」を読んだ。 「パン屋襲撃」を読む前に読んでいいのかと思いながら読むうちに、実は「パン屋襲撃」なんて作品は存在しなかったのではないか、「パン屋再襲撃」という題名から1回目の襲撃も前に書…

『アサッテの人』諏訪哲史

読了日 2020/1/16 行方不明になった叔父は、突然「ポンパ」などの意味のない言葉を発する「アサッテの人」だった。 彼の残した日記や彼の亡き妻(朋子)の証言などをもとに「私」は『アサッテの人』という小説を書こうとするが、彼のアサッテ同様の、言語や…

『最高の任務』乗代雄介

『群像』2019年12月号にて。 『生き方の問題』以来、この作家を読むのは2作目。芥川賞候補になったと聞いて読んだ。 親しかった叔母(ゆき江ちゃん)を3年前に亡くした景子は、大学の卒業式のあと、列席した家族に電車で群馬へ連れられる。どうやら「小学5年…