2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『エバ・ルーナのお話』(1)イサベル・アジェンデ

エバ・ルーナのお話 (文学の冒険シリーズ) 作者:イサベル アジェンデ 国書刊行会 Amazon これまでに読んだアジェンデは、岩波文庫『20世紀ラテンアメリカ傑作選』に入っていた「ワリマイ」のみ。 『精霊たちの家』に挑む前に、こちらの短篇集に手を出してし…

「物語の終わり」レイナルド・アレナス

世界文学のフロンティア〈5〉私の謎 作者:今福 竜太 岩波書店 Amazon 邦訳があるアレナスのうちで最高傑作だと噂の短篇「物語の終わり」をやっと読んだ。岩波書店『世界文学のフロンティア 5「私の謎」』収録。杉浦勉訳 (本書ではレイナルド・アレーナス表…

『ヴァインランド』(6)トマス・ピンチョン

hiddenstairs.hatenablog.com つづき 10章と11章を読んだ。 10章 (pp.279-295) 〈秒速24コマ〉の回想・フレネシとブロックの出会い <あらすじ要約>プレーリー、タケシ、DLの3人はLAの高層ビルに入っているタケシの探偵事務所へたどり着く。そこで〈秒速2…

『ヴァインランド』(5)トマス・ピンチョン

hiddenstairs.hatenablog.com の続き 9章 (pp.189-278) DLがタケシ・フミモタと出会って相棒になるまでの話 <あらすじ要約> 彼女らを出会わせたのは例の富豪ラルフだった。日本で身に着けた忍術で幼くして格闘会のスターとなっていたDLに惚れ込んだラル…

『継母礼讃』マリオ・バルガス=リョサ

「ママのことさ、パパ、ほかのだれもテーマになんかならないよ」と、フォンチートは手を拍った。「タイトルのようなものもつけたよ。『継母礼讃』て言うんだ。どう?」「なかなかいいね、とてもいい題だね」彼はほとんど考えもしないで、とってつけたように…

『別れ』フアン・カルロス・オネッティ

別れ (フィクションのエル・ドラード) 作者:フアン・カルロス オネッティ 発売日: 2013/10/01 メディア: 単行本 併録されている2つの短篇はすでに読んで記事を書いたが、表題作の中編「別れ」をようやく読み終えた。あ〜長かった。 ・別れ ("Los adioses", …

「天地創造」ドン・デリーロ(『天使エスメラルダ』収録)

天使エスメラルダ: 9つの物語 作者:ドン デリーロ 発売日: 2013/05/31 メディア: 単行本 今読んでいる数冊の小説をバッグに入れ忘れたので、目の前にあった『天使エスメラルダ:9つの物語』を手に取り、冒頭の1編を読んだ。 ・天地創造 ("Creation" 1979年…

「生命線」「最後の恋」「女王人形」「チャック・モール」カルロス・フエンテス

『フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇』の他四篇を読んだ。 生命線 銃殺されるのを待つだけだった革命軍兵士の4人が監獄を脱出し、再び捕らえられ死ぬ リーダー格で主人公のヘルバシオ・ポーラの感情の動きが目まぐるしく身につまされる。 こういうザ・…

「アウラ」カルロス・フエンテス

hiddenstairs.hatenablog.com 前記事に続き、岩波文庫のフエンテス短篇集を読んだ。 ・アウラ 「君」……二人称小説だ!しかも『子供の領分』のような現在形 バス停でバスが停車せずスピード落とすだけってマジかよ。メキシコ…というか海外ではそれが一般的な…

「純な魂」カルロス・フエンテス

ラテンアメリカ文学好きと言っておきながら未だほとんど読んだことがないフエンテス。この作家の名を初めてちゃんと認識したのは、セサル・アイラ『文学会議』──主人公のマッドサイエンティストが尊敬する作家フエンテスのクローンを大量生産して世界征服を…

『ズボンをはいた雲』マヤコフスキー

「自分では到底理解できないようなぶっ飛んだ小説に出会いたくて海外文学を読んでいる」と公言するにも関わらず、詩を一切読まないのはヤバいんじゃないか?という焦りがしばらく前からあった。しかし日本の現代詩にはあまり食指が動かず、薦められた小笠原…

『笑いと忘却の書』ミラン・クンデラ

クンデラ全小説読了。『笑いと忘却の書』『存在の耐えられない軽さ』『不滅』の中期三作の勢いが圧倒的だった。後期では『無知』が良かったかも。 — ロバ (@donkeys__ears) 2021年4月13日 『笑いと忘却の書』を読もうと思ったきっかけはこのツイート 中期三…

『ヴァインランド』(4)トマス・ピンチョン

前回↓のつづき hiddenstairs.hatenablog.com 6, 7, 8章まで読んだ。 6章(pp.102-134) プレーリーの母フレネシの現在の話と、彼女の両親サーシャ/ハブ、それから母方の祖母ユーラ/祖父ジェスの代まで遡る人生記 フレネシがいかに密告まみれの政治的環境(共…

「兎」「アカシア騎士団」金井美恵子

愛の生活・森のメリュジーヌ (講談社文芸文庫) 作者:金井 美恵子 発売日: 1997/08/08 メディア: 文庫 東京でフォロワーさんとオフ会したときに頂いた本 金井美恵子は自分からは読まないだろうな〜と思っていたのでありがてぇ 表題作ではなく、特にオススメさ…