『緑の家』マリオ・バルガス=リョサ(1966)
ラテンアメリカ文学好きを自称しているのに未読だった『緑の家』(1966)をようやく読みました。(上下巻に分かれている岩波文庫で)
上巻の最初のページに 1965 と書いてあるが、1966 の誤字?(第2刷)
このうち『悪い娘の悪戯』はオールタイムベストといっていいくらいに好きな小説です。ノーベル文学賞作家が本気で書いたラノベだと思っています。〈ファム・ファタール〉ものが好きなひとは必読です。
『継母礼賛』はノクターンノベルズにありそうなポルノ小説でえっちで良かったです。『街と犬たち』は、少年たちが主人公の軍人士官学校モノで、ホモソーシャルな雰囲気があまり好みではありませんでした。
初期の代表作『緑の家』に関しては、「密林の娼館〈緑の家〉の話らしい」「バラバラのストーリーが並行して語られるめっちゃ読みづらい小説らしい」というくらいの事前知識でした。
はじめに、読後の感想を載せたのち、読み進めている最中にとっていたメモ書きを載せます。メモを取りながらでないと、内容の把握・整理が難しかったです。
なお、感想もメモも、わたしの主観で書いたものに過ぎないため、内容には多くの間違いが含まれていると思われます。勘違いしたままメモしていて、後の章で「あ、そういうことか! ずっと勘違いしてた~」と書き足している箇所もたくさんあります。その点を注意してお読みください。
読んだ期間:2025/6/18(水)~7/3(木)
計:15日間
感想まとめ
年代も場所も人物も異なる5つほどのエピソードを順繰りに並行して語っていく群像劇的な構成だが、期待していたほどには終盤で「バラバラに思われていた物語たちがひとつに収束し……!」ていなかった印象。もちろん互いに緩やかに繋がってはいるが、全体でひとつの壮大な物語を織りなしている感は薄い。ストーリー上のカタルシスもない。
前作『街と犬たち』でも使われていた、リョサお得意の、いきなり次の行や文から場面を切り替える、映画のジャンプカット的な文章技法は全編を通じて大盤振る舞いされていた。身構えたが、これは慣れればそんなに混乱はしない。なんとなくでも、ちゃんと切り替えが理解できるようにうまく書かれている。変わる行にシャーペンで線を引きながら読んだ。
この技法もさることながら、文体上の最大の特徴は、会話を地の文に埋め込み、かつ「~と言った。」を省略するところだと思う。誰がその台詞を言ったのかが分かりにくい場合がある。例えば、次の文章を読んでみてほしい。(『緑の家』上巻 p.27より)
シスター・パトロシニオは顔面蒼白、口もとが引きつり、指は黒い玉の数珠をしっかりとにぎっている。軍曹、相手は子供だということ、忘れないでくださいね。分かってます、分かってますよ! 〈デブ〉と〈クロ〉は、いいか、あの裸虫たちをおとなしく押さえておくんだ。シスター、シスターは何も心配することはありませんよ。それでも、シスター・パトロシニオは、乱暴だけは、お願いですから止めてくださいね! 船頭が、そこらの物はわたしが引き受けますから。
登場人物が沢山でてきてややこしいのもあるだろうが、それ以上に違和感があっただろう。"○○が「~~」と言った。" という構造の文をリョサは、 "○○が、~~。" とだけ書くことが多い。したがって、上の引用をわかりやすく書き換えるならば、
シスター・パトロシニオは顔面蒼白、口もとが引きつり、指は黒い玉の数珠をしっかりとにぎっている。シスター・パトロシニオは言った。
「軍曹、相手は子供だということ、忘れないでくださいね。」
「分かってます、分かってますよ!」と軍曹は答え、「〈デブ〉と〈クロ〉は、いいか、あの裸虫たちをおとなしく押さえておくんだ。シスター、シスターは何も心配することはありませんよ。」と言った。
それでも、シスター・パトロシニオは、「乱暴だけは、お願いですから止めてくださいね!」と言った。
船頭が「そこらの物はわたしが引き受けますから。」と言った。
のようになるだろうか。(あってる自信はない)(戯曲のト書き形式のほうが分かりやすい……)
もちろん、ずっとこういう難解な文章が続くわけではなく、パートごとに文体はガラッと変わる。しかし、一見誰が喋っているのか分からない台詞が並んだと思ったら、いつの間にか時空間すら飛んで全然別の場面の話をしている(と思ったらいつの間にか戻ってきている)……というように、文章に翻弄されて、それを自分でひとつひとつ推理して読み解いていかなければならない箇所もあった。
このように、パートごとの時系列や繫がり・どこで場面がシームレスに切り替わっているかを、読み進めながら自分で考えて整理していくのは、パズル的な面白さがあった。しかし逆にいえば、そういう表面的な小手先の面白さしかなくて、「小説」としての面白みや凄みはあまり感じられなかった、というのが正直なところ。
パズルを自分なりに当てはめたらそれで満足してしまうし、そもそも、こんな面倒な細切れのシャッフル構成にするよりも、ひとつひとつのエピソードをある程度連続して読ませてほしかったと思う。
ちょっと面白くなりそうなところで一旦打ち切られて別のパートに行き、続きはしばらく先にお預けにされることが続く読書体験。巧みなクリフハンガーといえば聞こえはいいが、ひとつひとつで読めば正直大したことない話を、細かく分割して再構築することで、さも複雑で有機的で奥深い物語のように見せかけているだけではないか、という身も蓋もないことを思ってしまった。
もちろん、そうした再構築型の構成が文学的に高く評価されてきたのだろうが、素人のわたしからすると、よくあるメロドラマやサスペンスなどのエンタメ小噺を、なんとか水増しして虚勢を張っているように感じられた。
「結局なんの話だったんだ?」と、読み終えてから呆気に取られてしまっているかもしれない。ひとつひとつの場面は思い出せるが、それらがひとつのまとまりとなって像を結ばない。これは本作の瑕疵というよりも、読み手であるわたしの力不足を示しているに過ぎないが……。今のわたしでは歯が立たなかった、と言い換えてもいいのかもしれない。
リョサは本質的にエンタメ通俗作家ではないか、という確信が私の中で深まった。ジャンプカット的な技巧やシャッフル群像劇構成を排して、一本道のエンタメ通俗小説として開き直って書いた『悪い娘の悪戯』を、わたしはこの世でいちばん面白い小説のひとつだと思う。
つまり、初期三部作など、ノーベル文学賞の授賞理由となったようなブンガク的に大層な初期作よりも、力の抜けた中期・後期の作品のほうがわたしは好みだと思われる。したがって、積んでいる『ラ・カテドラルでの対話』は飛ばして、『パンタレオン大尉と女たち』や『フリアとシナリオライター』などのコメディ色の強い長編を優先的に読んでいきたい。
物語の主な舞台は、大きく分ければ、密林の田舎町サンタ・マリーア・デ・ニエバと、砂漠の町ピウラのふたつ。(詳細にいえば、より東側の町イキートスや、ニエバから密林を分け入っていくサンティアーゴや「フシーアの島」、ウラクサといったインディオたちの集落がある)
その中でも、やはりピウラでの物語がもっとも印象深く、愛着が湧いて面白かった。ピウラのなかでも周縁部にあるスラム地区マンガチェリーアの下町人情あふれる人々の描写はグッときたし、ひとつの町の年代記として、『百年の孤独』や『丁子と肉桂のガブリエラ』にも少しだけ近い読み味の魅力があった。ピウラでのエピソードだけを纏めていたら、もっと好きだったと思う。
いうほど〈緑の家〉は出てこなかった。〈緑の家〉を主要な舞台にするというよりも、それを昔あったらしい伝説的な存在として、物語の土台に敷いている。〈緑の家〉を知っている層と知らない層がいて、そういう人々が交流していく様子を描くことで、ピウラの町に流れた時間の厚みを演出していた。
サンタ・マリーア・デ・ニエバ編では、ボルハ守備隊や治安警備隊といった、軍隊的な男たちのホモソーシャルな空間のパートがキツかった。これは前作『街と犬たち』でも感じたことなので、おそらく私はリョサのこうした側面が苦手なのだろう。インディオの集落を襲撃して略奪・誘拐を繰り返すくだりも……。
伝道所のシスターたちを交えて、「未開」の部族であるインディオたちを町に連れてきて文明化させてあげるほうがいいのか否か、という植民地主義的なテーマもいっしゅん浮上していた気がするが、最終的にどう処理されたのか、単に物語の1パーツで終わっていたようで納得いかない。
ホモソ描写とも地続きだが、なにより、「女好き」な男たちによる女性蔑視/差別的な言動がいたるところで繰り広げられるのをひらすら読まされたのがしんどかった。DV・モラハラ・性暴力・援助交際・ロリコン・児童虐待・グルーミング……クズ男の博覧会といった様相を呈していた。クズ男が好きなひとにはオススメの小説です。
もちろん、『街と犬たち』同様に、これらは男権社会のおぞましさと愚かしさを誤魔化さずに丹念に描き出そうとした結果であり、フェミニズム的にむしろポジティブなものではあるのだろう。
が、にしてもキツいし、しかも最終的にはそんなクズ男たち──少女を誘拐して孕ませて死なせたドン・アンセルモや、DV男のリトゥーマなど──も、なんやかんやみんな必死に生きてきて、無駄じゃなかったね、えらかったね、エモかったね、的な "赦された" トーンで絞められているように感じて、えぇ……と引いてしまった。(フシーアの最後は気の毒だが自業自得としか思えない)
まともな男は、船頭ニエベスと、ドン・アキリーノおじさんくらいか。この2人はマジで聖人だった。ニエベスの末路が可哀想というか気になる。
最推しは楽士エル・ホーベン・アレハンドロという中二病おじさん。『ガールズ&パンツァー』のミカさん的な、かっこつけて深そうなことをぼそっといいたがる、愛すべきキャラ。
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弦楽器弾きなのもエル・ホーベンと共通している
女性陣は……主人公格のボニファシアをはじめ、ラリータ、ラ・チュンガ・チュンギータ、アンヘリカ・メルセーデス、アントニア、フアナ・バウラ、シスター・アンヘリカなどなど、印象深いキャラはたくさんいるものの、男性陣に比べると目立っていなかったというか、男たちに人生を翻弄されている人が多くて痛ましかった。ボニファシアとアントニアは特に。
そんななかでも、ラリータは計3人の男の「妻」として渡り歩いて、力強く生き抜いていて良かったし、ラ・チュンガやメルセーデスは頼れる「姐御」的な存在としてピウラで切り盛りしているのが眩しかった。
もっとも印象深い場面は、〈緑の家〉が焼け落ちるくだり(Ⅲ部1章C)。あそこは、いわゆる典型的な "カーニバル" 描写で好き。(そういえば、フシーアたちが「島」を開拓するために密林を燃やす場面も似た魅力があった。これら2シーンはおそらく構造的に響き合うように位置付けられているのだろうと今気付いた。)
ボニファシアの結婚式でシスター・アンヘリカと抱き合うシーン(Ⅳ部1章A)は直球に感動的で泣けた。ツンデレシスター。
Ⅳ部Cパートの、アンセルモがアントニアに恋焦がれる二人称の怒涛のロリコンおじさん語りはなかなか迫力があった。意識の流れっぽくなっていて、客観的に最も「文学的」なのはこのパートだと思う。ペルー版『ロリータ』。キモすぎるが。
感想メモ
Ⅰ部
0章(と便宜上、呼称)
文章がかなり特殊ですげぇ読みづらい!
改行がなく、「 」も使わず、三人称の地の文と発話が混在しており、さらに
"Aは〜〜と言った"
の "と言った" が省略されることが多い。
一文一文はきわめて短く平易だが、文章総体としては、誰が何をしているのか、状況の把握と整理が難しい。
しかも最初から登場人物がかなり多い。10人近く出てくる。『街と犬たち』の冒頭も大人数が集まるシーンからだったな。
『響きと怒り』の第1章や、『JR』の特殊な語りをマイルドにした感じ。老婆などいろんな人々がうわごとを言っている雰囲気はドノソ『夜のみだらな鳥』っぽさもある。
おそらく、初っ端でかまそうとしているだけであって、ずっとこれが続くわけではないと信じたい。。
軍曹率いる治安警備隊が、チカイスという集落のアグアルナ族からふたりの少女を拉致してきた?
2人のシスターが交渉役
1章
A
文章が普通になった! よかった〜〜
ニエバ川とマラニョン川の合流地点にある町サンタ・マリーア・デ・ニエバ。その丘の上にある尼僧院から、生徒たちが密林へ逃げ出した。管理人ボニファシアが果樹園の鍵を開けて彼女らを逃したという。『街と犬たち』が士官学校から男子生徒たちが街へ抜け出す話だったが、今度は女子生徒が密林へ抜け出すのか。
前章から、ふたりのシスター(アンヘリカ&パトロシニオ)は続投。
B
空行を置いて場面が移る。
ブラジルから脱獄してきた「日本人」(日系人?)フシーアと、アキリーノ「じいさん」がふたりマラニョン川を下る。
脱獄時の回想と現在時制がシームレスに切り替わる。これくらいなら全然混乱はしない。
p.50 「フリオ・レアテギ」は重要人物そう
C
再び移る。
砂漠の只中にある町ピウラのあらましを、三人称の語り手が語る。
こうした恩知らずな人間たちが夜の楽しみと女を求めるのを見かねたのか、ついに天が(ガルシーア神父に言わせると、「悪魔、いまわしいペテン師」が)彼らに喜びをもたらすことになった。かくして、騒々しい歓楽の不夜城〈緑の家〉が誕生した。 p.56
唐突にタイトル回収
サンタ・マリーアじゃなくてピウラにあるんだ
D
ロベルト・デルガド伍長は故郷のバグアに帰るため上司のアルテミオ・キローガ大尉から3週間の外出許可証をもらう。
p.60 船頭アドリアン・ニエベス! こいつが別々の場面を繋ぐ文字通りのキーマンか
E
1章ラストは、ガルシーア神父p.62 とかマンガチェリーアp.65 とか出てきているので、たぶんピウラの町の場面。
町の「番長」ホセフィノ・ローハスは、同じく番長として因縁のあるリトゥーマが首都リマから帰郷してきたことを、レオン兄弟(エル・モノ&ホセ)から伝えられる。
リトゥーマは再会の飲みの場を〈緑の家〉にしようと告げる。
〈緑の家〉はラ・チュンガ・チュンギータの店なのね
p.64 ホセフィノとリトゥーマの因縁、「あの女」とかいってるし十中八九〈緑の家〉関連だろ
1章おわり!
えーと、場面にして5つのパート(便宜的にA〜Eと命名)が羅列された。それぞれのパートで出てきた人物名や地名を忘れずにいて、場面同士のつながりを見つけていかなければならないっぽい。パズルだ……
これ以上増えなければいけるだろうけど、増えそうだな〜 計5場面を章ごとに定点観測して最後に収束するんだったら分かりやすいのに。
2章
A
尼僧院長とシスター・アンヘリカが、生徒たちを逃したボニファシアを詰問・説教する。1章Aパート続きだ! ボニファシアは孤児として尼僧院に拾われて育てられ、使用人的なことをしている。
p.75 昨日連れられてきた2人のアグアルナ族の子たちも一緒に逃げたんだ。
この尼僧院の普段のスケジュールや内部構造などが解説される。
生徒は二十人ほどいるが、すべて六歳から十五歳までのアグアルナ族の少女たちである。 p.78
え〜そうなの!? 尼僧院はアグアルナ族から少女を連れ去ってきて成り立っているということ? 序章では部族の大人たち同意してなかったように思えたが、実はまっとうな教育機関に預けるみたいに許容しているのかな
B
引き続きマラニョン川下りをしながらフシーアとアキリーノじいさんが会話する。
フシーアは昔、ブラジル・アマゾン近くの街イキートスにいた頃に、フリオ・レアテギの部下をやっていて、裏切って金を持ち逃げした?
フリオ・レアテギはホテル経営や密売などで稼いだ大金持ちらしいが、マフィアなのかなぁ
レアテギに媚びへつらっているドン・ファビオは、サンタ・マリーア・デ・ニエバの行政官? フシーアとの会話ではイキートスのホテルマンみたいな挙動をしているが。そしてフシーアはホテルから逃げ出す際にムカついた猫の首を絞めて宙吊りにしていたらしい。サイコパス?
フシーアの回想に合わせて、別の時間軸の語りが入ってくる。まとめると、
①フシーアとアキリーノの会話(現在)
②ドン・ファビオとフリア・レアテギの会話(過去)
③フシーアとドン・ファビオの会話(大過去)
の3つが行を跨いで映画のジャンプカットのように切り替わっていく。
喋っている人物と、会話の相手の名前が時間軸を見分けるタグとして機能しているので、意外とすんなり理解できる。
どこで切り替わるかをページ上部に書き込みながら読むと、ちょっとペンシルパズルやってるみたくて楽しい。
「あんなものはくその役にも立ちゃあしない。地図を作った連中はこのアマゾン地方が片時もじっとしていない、燃える女みたいなものだってことが分かっていないんだ。ここでは、川も木も生き物もすべてその姿を変えてゆく。わしたちが住んでいるのは狂った大地なんだよ、フシーア。」 p.84
フシーアはアキリーノとモヨバンバで出会い、スカウトしたらしい。フシーアがレアテギの部下をやっていた時系列がよく分からん。
C
ピウラの町の叙事詩パート
謎多き若い男アンセルモがピウラに辿り着いて町に馴染むまで
おそらく長旅をしてきたのだろう、その動作は緩慢で疲れ切っているように見えた。 p.89
このように三人称の地の文は全知の語り手ではなく、民話調のように親しみ易くしている。
D
1章にはなかった新パートだ Dというか「F」?
フリオ・レアテギ含む4名のお偉いさんの会話
場所がサンタ・マリーア・デ・ニエバなのかイキートスなのか。どちらでもありそうな描写。また複数の時間軸が知らぬ間に入れ替わっているのかな。
計画を掻き回している「あの二人組」とはフシーア&アキリーノのこと?
あとサンタ・マリーア・デ・ニエバの行政官って結局誰なんだ。ドン・ファビオじゃなくてドン・フリオ・レアテギ? もしドン・フリオとフリオ・レアテギが別人だったらもうお手上げ。
ウラクサのアグアルナ族に関しては、1章Dで言及されていた。
まったくどうなっているんだ、連中はイキートスを人間だと思っているんだ、なんにも分かっちゃいないんだよ、ボニーノ。 p.100
いや他人事ではなく、自分もマジで誰が誰だか、人名と地名すらも混乱してきた。
イキートスというのはボスの名前じゃない。この川下にある町の名だ。マラニョン川を下って行くと、その町に行ける。 p.101
イキートスってマラニョン川の下流にあるの? マラニョン川の流れる方向が想定と反対かもしれない。分水嶺みたいに、内陸の途中で反対向きになるのかな。
このパート何も分からん! あとで読み直します!
E
ピウラの外れにあるスラム街マンガチェリーアへ、そこで生まれ育ったレオン兄弟に案内されてホセフィノとリトゥーマが再会し、4人で飲み交わす。
今回は特に切り替わりが無かったと思う。
p.105 故人ドミティーラ・ヤーラ婆さんはいかにもまた言及されそう
p.110 「ボニファシアのために乾杯!」!? EのリトゥーマたちとAの尼僧院が繋がるのか。ピウラとサンタ・マリーア・デ・ニエバでは場所もかなり離れているが…… そもそも時系列もわからん。毎章、サプライジングな絞め方をしてくる
3章
A
ボニファシアは、どうか伝道所から追い出さないでくれと尼僧院長に懇願する。彼女が、食料貯蔵庫に隠れていたチカイスの少女2人に揚げバナナをあげる回想場面がところどころに挿入される。
ボニファシアがアグアルナ族の言葉を話せるのマジだったんだ。元アグアルナ族出身とか?
B
女性に関する罵倒語「すべた」って語源はポルトガル語・スペイン語なんだ! じゃあ翻訳で使うのも理に適っていると。
フシーアは浸水の町ベレンにてフリオ・レアテギの部下として、ゴムをタバコと偽って密輸していたが、ラリータという娘と駆け落ちした。→マラニョン川にあるレアテギの土地ウチャマーラへ。
ラリータの母親はフシーアに騙されたことに驚き、弁護士に相談する。
「知り合った頃はまだ世間知らずの生娘だった」とフシーアは言った。「時々子供みたいに泣き出したな。こっちの虫の居所が悪い時はひっぱたいてやったが、そうでない時はよく飴を買ってやったもんだ。そうだな、娘と女房をいっしょにもらったような感じだったよ。」 p.124-125
基本的には
①フシーアとアキリーノの会話
②ラリータの母親とポルティーリョ弁護士の会話
が交互に切り替わる構成だが、最後のp.131-132で
③フリオ・レアテギとポルティーリョ弁護士の会話??
が挿入される。③の人物は自信ない。フシーアかも。
C
アンセルモの奇行にピウラの住人たちは興味津々。明け方に宿泊先の馬に乗って散歩したり、砂漠に土地を購入したり。
馬の散歩に遭遇したのは、ホセフィノの父であるカルロス・ローハス。Eに登場するホセフィノがまだ赤ん坊の頃らしいので、時系列は「C→2~30年→E」といったところか。Eのリトゥーマがアンセルモの子だったりして?
あと序章から「ランチ」という語が出てきていて、文脈上、いかだや小舟のようなものだと思われるが、検索しても不明
D
キローガ大尉率いるボルハ守備隊は、近くの部族の集落を襲撃しては男を攫ってきて収監し入隊させている?
1章D(p.56)の続きで、ロベルト・デルガド伍長が故郷バグアに行くために、新人船頭アドリアン・ニエベスとアグアルナ族の無口なポーターの3人でランチに乗って川上へ出発する。2日後ウラクサへ到着して、もぬけの殻の集落に夜営して金品を強奪。返り討ちにあいそう。大尉に持ち帰ると約束した蚊に刺され用の塗り薬は見当たらない。
E
ホセフィノとリトゥーマたち4人の呑み会は続く。ジャンプカットなし
リトゥーマはリマで、序章の〈クロ〉=カルデナス伍長と一緒にいた(軍隊?牢屋?)。リトゥーマはピウラで革命関係のある事件を起こして町を去ったらしい。《革命連合》、サンチェス・セーロ将軍?⇔敵対関係にある「アプリスタ」派閥
「彼女は娼婦になったんだ」とホセフィノが言った。「今、〈緑の家〉で働いている。」 p.150
ボニファシアはリトゥーマの元恋人だったのか? 少なくとも想いを寄せてはいたっぽい。Aで尼僧院を追放されてピウラに行き着いてリトゥーマたちと知り合い、リトゥーマがリマへ去ったあとに〈緑の家〉に入ったのかなぁ。てか、〈緑の家〉がまだ噂に上るだけでしっかり登場してない。早く見せてくれ。『桐島、部活辞めるってよ。』パターンはやめてくれよ
4章
A
ボニファシアが2人のインディオの少女を気の毒に思って扉から逃がそうとしていたところに、他の生徒たちもやってきて一緒に脱走しちゃったわけね。
幼児のボニファシアがウラクサからサンタ・マリーア・デ・ニエバに連れてこられたときに、一緒に連行されてきたインディオの男は、伝道所に数か月滞在したのち、「罪を犯した」(たぶん姦通)ことで髪を切られて木に吊るされた。ボニファシアはその男を自分の父親ではないかと疑っている。その男から「悪魔」が自分に乗り移ったのではないかと信じている。インディオにとって "髪を切られる" ことがどれほど屈辱的なことなのか。それで、シラミを取るためにシスターが少女たちの髪を切る前に、ボニファシアは彼女たちを逃がしてあげたくなった、と。
「急にひとりの子がわたしのほうに近づいて来ました」とボニファシアは言った。「近寄ってきたのは小さいほうの子だったのですが、わたしを抱きしめに来たと思っていましたら、その小さな指でわたしの髪の毛についているシラミを探しはじめたのです。そばに来たのはそのためだったのです、院長様。」
「どうしてあの子たちを寝室に連れ戻さなかったのです?」と尼僧院長は尋ねた。
「きっとあの子たち、嬉しかったんですわ。わたしが食べものをもって行って上げたので、お礼のつもりでそうしてくれたんです」とボニファシアは続けた。「ですが、シラミが見つからなかったものですから、それは悲しそうな顔をしました。その顔を見てわたしは、ああ、シラミがいればいいのに、どうか一匹でもいいから見つかりますようにと心の中で祈りました。」 p.162
ほっこり
B
フシーアとラリータは結婚してたのか? 「奥さん」「女房」とは「情婦」の単なる言い換え? 当時のラリータ15歳かよ そんな少女にすっかりご執心のフリオ・レアテギは完全に援助交際のパパ活おじさんと化している。
国外逃亡するためにフシーアは、フリオのもとにラリータを置いていこうとしたが、彼女はフシーアを追いかけてきた。フシーアはエクアドルに逃げる予定だったが結局ペルー国内から出られなかった。
C
〈緑の家〉ができるまで/できてから
ようやくだよ! なるほど、前章Cでアンセルモが砂漠の土地を買ったのは、〈緑の家〉を建てるためか。
ピウラの町では、最初の〈緑の家〉、母胎ともいえるあの建物についていろいろと取沙汰された。だが、今ではそれがどんな建物だったのか、あの家にまつわるほんとうの歴史がどのようなものだったのかを正確に知っている人はいない。当時のことを覚えている人はほとんどいないし、たとえいたとしても筋の通らない矛盾した話をした上に、自分が実際に見聞きしたことと頭の中ででっち上げたことをごっちゃにしてしまうのだ。 p.177
「あの音楽が聞こえてくると、男たちの顔つきが変わったものですよ」とヴェールをかけた信心深い老女たちが言った。「あの音楽が男たちを家庭から引き離したのです。あれが聞こえてくると、男たちは街路へ、ビエホ・プエンテ橋のほうへ引き寄せられて行きました。」 p.179
「〈緑の家〉が町に不幸をもたらしたというのは、たぶん本当だろうね」と老人たちは唇を舐めながら言った。「しかし、あの店ではみんなさんざんいい思いをしたからな。」 p.179
〈緑の家〉ができて以降、ピウラの町は水害・干害・虫害などに襲われた。が、外の町からも〈緑の家〉へ客が来るようになり、町はよそ者でひしめくようになった。
一年目は、女が四人しかいなかった。しかし、二年目に入ってその女たちがやめて行くと、ドン・アンセルモはよその土地から八人の女を連れて来た。言い伝えによると、最盛期の〈緑の家〉には二十人ばかりの女が働いていたと言われる。女たちは町はずれにある道を通ってあの建物に向かって行った。ビエホ・プエンテ橋の上に立つと、〈緑の家〉に向かって行く女の姿が見え、彼女たちの金切り声や呪詛の言葉が聞こえてきた。 p.183-184
〈緑の家〉を利用したり軽蔑したりする周りの人びとの描写は多いが、そこで実際に働く女性たちの情報はここくらいしかない。
ドン・アンセルモの経営する〈緑の家〉は繫盛するにつれて縦横に伸び広がって行った。あの建物はまるで生き物のように膨張し、成長しはじめた。 p.184
全盛期の〈緑の家〉には、大勢の女たちのほかにマンガチェリーア生まれの若い娘アンヘリカ・メルセーデスが住み込んでいた。彼女は母親からさまざまなソースに関する知識やその作り方を教えこまれていた。 p.186
Eパートでは「アンヘリカ・メルセーデスの店」を立派に切り盛りしているアンヘリカの少女期か。
D
案の定、アグアルナ族にデルガド伍長たちは襲われる。なんとか船頭アドリアン・ニエベスだけは川を下って逃げ、マラニョン川からも外れて彷徨った挙句に、フシーアとラリータが暮らす島に辿り着く。巻頭の地図に「フシーアの島」があったからな。
これでBとDが合流した! この第Ⅰ部でA~Eがだいたいまとまるってことか。第Ⅱ部はまた違うバラバラのパートになるのかなぁ
ニエベス、船頭をやってるときにボルハ守備隊に捕まって兵隊にさせられていたのか。
そういや確かに、Bのフシーアとアキリーノの会話でニエベスの名前出てきてたな
E
ボニファシアが〈緑の家〉で働いていると知ってショックで傷心のリトゥーマ。意外と繊細だ。
リトゥーマはリマで刑務所にいたのね。政治的な行動で逮捕されたのか。ホセフィノたちも一緒にいたからピウラから一旦離れて潜伏していたと。
ボニファシアも、ホセフィノやリトゥーマたちの仲間の一員だったようだ。事件のときは身重だったが無事に産んではいないらしい。
ホセとエル・モノとリトゥーマの3人が幼馴染で、ホセフィノだけ違うのか
p.198 リトゥーマは「治安警備隊」に入った? 0章の治安警備隊と同じ? いつの事?
3人の反対を振り切ってリトゥーマは〈緑の家〉へ行く……ところで第Ⅰ部おわり!
Ⅰ部まとめ
第Ⅰ部の全4章は、それぞれA~Eの5つの節(パート)に分かれていた。
A:サンタ・マリーア・デ・ニエバの伝道所から少女たちをボニファシアが逃がしてしまった話
B:マラニョン川を下りながら、フシーアがアキリーノに語る身の上話
C:砂漠の町ピウラに謎多き男アンセルモがやってきて〈緑の家〉を大繁盛させるまでの年代記
D:ボルハ守備隊のロベルト・デルガド伍長に連れられて船頭アドリアン・ニエベスらがウラクサ方面へ行く話
E:リマの刑務所から釈放されたリトゥーマがピウラに凱旋して仲間のホセフィノらと再会する話
ただし第2章のDに相当する節(F)だけは、Dとはかなり異なる、フリオ・レアテギ達の会話だった。
また、第1章の前の、第0章に当たるパートは、2人のシスターと「治安警備隊」がアグアルナ族から2人の少女を拉致して、Aの伝道所へ連れていく場面が描かれていた。
現時点での各パートの関係を整理すると、
・C→E/0→A→E
まずCとEは、いずれもピウラを舞台としており、C→Eの順で推定2, 30年ほどの隔たりがある。Eでは立派な大人(若者?)のホセフィノが、3章のCではまだ赤ん坊であり、Eでは存在して久しい〈緑の家〉が建つまでの過程をCでは描いているため。ホセフィノの年齢が分かれば、CとEの年代差も特定できる。
また、Eで〈緑の家〉の娼婦となっているらしいボニファシアは、Aの中心人物である。しかし、ピウラとサンタ・マリーア・デ・ニエバと、舞台がかなり離れている。おそらく、Aで伝道所を追い出されたボニファシアがピウラに辿り着いてリトゥーマ達と知り合って、彼らの逮捕後に娼婦になったのだとすれば、A→Eの時系列である。Aにて、ボニファシアが幼児の頃に伝道所に引き取られて育てられたと語られるため、E→Aの可能性は低い。A時点でのボニファシアの年齢が知りたい。
さらに、第0章で攫ったアグアルナ族の少女ふたりが、Aで伝道所に来ていたので、0→A。
0章とE-5章で「治安警備隊」の言及があるが、関連性は不明。
中心人物はボニファシア、ホセフィノ、リトゥーマ、アンセルモ
・(0→)D→B/F↔B
BとDは、第4章Dの最後にて繋がった。Dの船頭ニエベスが命からがら行き着いたのが、第4章Bの最後で語られる、フシーアとラリータが逃避行して築いた「島」である。
また、Bにてフシーアのかつての仕事仲間・上司であったフリオ・レアテギは、第3章のFの中心人物であり、ここの会話中で言及される「例の2人組」とはBのフシーア&アキリーノかもしれない。Fの時系列は不明なので、Bとの順序も分からない。
0章の治安警備隊にも船頭ニエベスはいる。これがDのボルハ守備隊とは別物なのか微妙。しかも1章Dにてニエベスは「新兵」としてすぐに伍長との旅に出発していたため、その前に0章の拉致作戦に参加していたのか分からない。
中心人物はニエベス、フシーア、フリオ・レアテギ
大きく分類すると以上の2つのまとまりになる。これら2グループが、第Ⅱ部以降でさらに繋がり、1つの大きな流れになっていくいくことに期待。
このように、とにかく構成にめちゃくちゃ凝っている小説なので、正直あんまり小説を読んでいる感じはしない。ペンシルパズル的な面白さ。
それと、章ごとに順番に読んでいくよりも、パートごとに、まずAを1~5章続けて読んで……というほうが読みやすく面白そうではある。でも、そうだと分かるためにはまず第Ⅰ部を通読しないといけない、という罠。
パート別にいうと、Aが今のところいちばん面白いかな~ ボニファシアが伝道所から逃がしちゃった少女たちの行方が気になる。そのボニファシアがEで娼婦となって登場するのも興味を惹かれる。ピウラという町の歴史が地の文のみで語られるCも好き。つまり、↑の分類のひとつ目のほうが現時点では好き。ふたつ目の、フシーアやニエベスのほうは、軍隊とか襲撃とか密輸とか裏切りとか、なんか怖いし…… こちらのヒロインのラリータに期待はしている。
Ⅱ部
3章までしかない! 1章減ってる
0章
フリオ・レアテギがサンタ・マリーア・デ・ニエバに到着して、行政官ファビオ・クエスタ(I-2Bのドン・ファビオp.81)や、I-Fの3人(マヌエル・アギラ、ペドロ・エスカビーノ、アレバロ・ベンサス)と会い、伝道所を訪ねる。
第I部2章Bに出てきた「ドン・ファビオ」=ファビオ・クエスタはやっぱりイキートスのホテルマンから、ニエバに移って行政官になったのね。フリオ・レアテギの斡旋で。
フリオ・レアテギもお世話になったシスター・アスンシオンが亡くなった。レアテギ以前はニエバにいたんだ。
フリオの妻が伝道所に礼拝堂を作った?
フリオ・レアテギ夫妻と弁護士ポルティーリョ夫妻それぞれの子守りをしてもらうために、伝道所の生徒ふたりをイキートスへ連れて行こうとしている。建前上は、ここは女中の職業紹介所ではないのです、という尼僧院長に、内心で憤るフリオ。ゴマをするファビオ。
ボルハ守備隊も治安警備隊も名前が出ている。別組織だがどちらもニエバにいるらしい。
ここでフリオ・レアテギに引き取られる予定だったのがボニファシアか! でも彼女は嫌がって、伝道所に残ることになった…… ウラクサから来て4年か。10歳弱とかそのくらい? それで、他の生徒は学業を終えてどこかに引き取られていく中、ボニファシアだけは伝道所に留まりたくて使用人ポジションで働いていたところに、あの逃走補助事件を起こして追放されてピウラに流れ着いたってかんじか。
I-Aより前の時系列だ。でもこれで、ボニファシアとフリオ・レアテギが面識あったことが判明して、第I部の2つの物語グループが早速繋がった。
ウラクサからボニファシアが連行された時にフリオ・レアテギは絡んでいるってことかな、当時の彼女を見ているのだから。
1章
A
軍曹と治安警備隊と船頭ニエベス……I-0章の面子だ!
I-Aで伝道所から脱走した少女たちを連れ戻すために密林を探し回っている。そりゃ大変だ
そもそもインディオの子供たちをニエバに連れてきて伝道所にぶち込んで教育・キリスト教化・文明化するべきかについて議論を交わす治安警備隊と軍曹たち。
えっ!? 船頭ニエベスのところにラリータと、伝道所を追放されたボニファシアがいる!?
船頭ニエベスは、I-5Dでフシーア&ラリータの島に辿り着いてから、ニエバで治安警備隊に入っているのか。I-Dのボルハ守備隊→フシーアの島→II-Aのニエバ治安警備隊、という遍歴。
B
引き続きフシーアとアキリーノの川下り中の会話。イキートスの対岸の都市サン・パブロに向かってるの? 逆方向だと思ってた
p.242 島に残してきたパンターチャってフシーアとラリータの子供?
クロスカッティング演出で、行政官ドン・ファビオ・クエスタとポルティーリョ弁護士の会話。2人はフリオ・レアテギに向けて喋りかけているようだが、フリオは一度も台詞がないので本当にその場にいるのか怪しい。ポルティーリョ弁護士と同一人物の可能性ある? 2人はインディオと白人のゴム商人からゴムを盗む盗賊の話題で持ちきり。フシーアが「島」でお世話になったウアンビサ族が盗賊にいるらしいが、フシーアたちが盗賊なのかなぁ
C
ピウラでの出来事だが、I部と連続的ではなく、時系列が分からない
町の名士である農場主のキローガ夫妻(ドン・ロベルトとドーニャ・ルシーア)は捨て子の女児アントニアを養子にするつもりだった。しかし引き取る前にキローガ夫妻は強盗に殺されてしまった。アントニアだけは奇跡的に一命を取り留め、町のみんなに哀れまれ可愛がられて育った。
……えーとまず、キローガ夫妻とはI部D p.56に出てきたアルテミオ・キローガ大尉とは別人? ドン・ロベルトはロベルト・デルガド伍長とは無関係? アントニアってこれまでに出てきてないよな?
D
言うてたらキローガ大尉とデルガド伍長が登場したw フリオ・レアテギもいるじゃん
彼ら3人が11人の軍隊を率いて、ウラクサのアグアルナ族を騙して襲撃。部族のリーダーはフム。既にどこかで登場していた覚え……
フリオってニエバの行政官なのか。のちにファビオにその座を譲ったってこと? 大尉や伍長よりもフリオは立場が上らしい。ロリコン?
E
リトゥーマやホセフィノたち4人は〈緑の家〉へ
まだ一応、アンセルモは目と足を悪くしているが相変わらずハープを弾いている。「ハープ弾きのおやじさん」として親しまれている。
「ひとりは娼婦で、もうひとりは乳牛か」とリトゥーマが呟いた。「よほど女を見る目がないんだな、おれは。」 p.255
ボニファシアだけじゃなくてリーラという女性も好きだったのかリトゥーマは。
それがラ・チュンガの店で、そこもやはり〈緑の家〉と呼ばれていた。 p.256
まるで〈緑の家〉が複数あるような言い方
リトゥーマはリマで服役してたんじゃなくて、サンタ・マリーア・デ・ニエバで軍隊に入らされていた? 店主ラ・チュンガが「軍曹」と呼んでるし…… まさかI部0章とかの軍曹ってリトゥーマだったのか?
ホセフィノやリトゥーマは店主から出禁くらっている。何をやらかしたんだ
「ラ・セルバティカ」ってボニファシアのこと?
2章
A
1章Aで誘った通り、サンタ・マリーア・デ・ニエバにて「軍曹」(=多分リトゥーマ)が船頭アドリアン・ニエベスの密林の家に招待されている。家の中にはラリータがいる。
「アキリーノというのは、いちばん上の子だね?」と軍曹が尋ねた。 p.264
えっ!? ラリータとフシーアの子? ニエベスの子? いずれにせよ、アキリーノってフシーアよりも年長じゃなかったのか
おそらく同名の人物がいる。『響きと怒り』だ
ニエベスとラリータが夫婦っぽいなぁ……
ボニファシアまで引き取られてる! 1-Aで言ってた通りだ。フシーアの存在が謎。アキリーノより年下なら、まだ生まれてないのか。じゃあI部5-Dあたりでニエベスが川を流されて「フシーアの島」に辿り着いたのはなんだったんだ。そもそもラリータをここに連れてきたのはフシーアじゃなかったか。
フシーアかニエベスかラリータが2人いる? 時間が歪んでいる?
そういうことか〜 軍曹=リトゥーマの経歴が分かってきた。ピウラのマンガチェリーア地区で生まれ育ち、治安警備隊に入隊してリーラといい感じになっていたが、サンタ・マリーア・デ・ニエバに異動になったことで破局。ニエバでは軍曹として働き、ここで船頭ニエベスとその妻ラリータの紹介のもとボニファシアと知り合い、ピウラに戻るときに一緒に連れて行く。しかしピウラで何らかの事件を起こしてリマに投獄され、何年後かに帰郷した時にはボニファシアは娼婦に、リーラは他所の男の妻になっていた、と……。
伝道所の生徒たちは密林で無事に発見されたようでよかった……かな。例の新入り2人だけ行方不明
この時点で推測するに、アキリーノが2人いるんかなぁ…… てか、ラリータはフシーアの妻だったはずだよね。p.192-3参照
2人の元に船頭ニエベスが辿り着いて身を寄せたあと、フシーアが何らかの形で死ぬかいなくなって、ラリータがニエベスと再婚したのかなぁ。ニエベスがフシーアから妻を寝取ったかたちだもんな。そして、フシーアがお世話になったアキリーノじいさんにちなんで子供の名前を付けた……とすれば辻褄は合うか。すると少年アキリーノはニエベスの子ではなくフシーアの子なのか?
ここにきて、これまでのBパートのフシーアとアキリーノじいさんの会話を見返す必要が出てきた……
B
とか言ってたら早速、フシーアとアキリーノじいさんが船頭ニエベスについて語っている! 読者を大いに混乱させて疑問を持たせてすぐに、それについて別視点から説明を与えてくれる、ユーザーフレンドリーなんだか意地悪なのか分からない巧い構成。
なるほどね。要するに、不能で最低の不倫モラハラ暴力夫であるフシーアから離れるために、ラリータはニエベスに夜這いして2人で「島」から駆け落ちしたのか〜。
ニエベスはめちゃくちゃいい奴だし、アキリーノじいさんもいい人すぎる。それに比べてフシーアは…… 身体が病気で蝕まれて脚も動かさなかったと嘆息するが、天罰としか思えない。
「食えない女だよ、あいつは。昔は若かったし、顔に吹き出物もなかったが、おれはわざと結婚してやらなかったんだ。いずれ自分の魅力が衰えた頃に結婚してもらえると踏んでいたのさ。」 p.283-284
フシーア夫妻とウアンビサ族で構成される島に、アグアルナ族のリーダーだったフムも連行されてきたのか。パンターチャも別部族の男か。女かと思った。
C
中老年女性と女児の組み合わせ好き(石牟礼道子『椿の海の記』とか) 洗濯女フアナ・バウラと盲目の孤児アントニア。
町のみんなで子供を見守って育てるかんじ良いなぁ。
少女がおとなしくじっとしている日は、洗濯女は軽い足取りで家にとって返し、ロバの手綱を解くと、洗濯物を集めて川に向かう。アントニアが不安そうに彼女の手を握って離さない時は、彼女も横にかけてやさしく慰めてやる。アントニアが行っていいと言うまで、彼女は何度も何度も手で尋ねた。 p.291
アントニア無事でいてくれ〜 これまでの傾向だと、このあと別のパートでアントニアが言及されるはず。
D
あ〜II部1章Dでの治安警備隊のウラクサ襲撃は、第I部4章Dでデルガド伍長とポーターがアグアルナ族から袋叩きにされた報復か。伍長殺されてなかったのね。
デルガド伍長もなかなか悪くて、自分が略奪しようとして反撃されたのに被害者面している。船頭ニエベスはインディオたちに殺されたのだと主張。
フリオ・レアテギは相変わらずロリコンだなぁ。このインディオの少女はボニファシアかな。流石にアントニアではないか。赤ん坊の状態でピウラの名士夫妻に発見されてるし。
族長フムは、ここで生き残ってどのようにフシーアの島に流れ着くのだろう。
イラクサのアグアルナ族はここ10年間ペドロ・エスカビーノとゴム・革の取り引きをしていたが、突然もうエスカビーノに採集物を渡さず、自分たちでイキートスで売ると言い出す。そりゃあ伍長やフリオ・レアテギらは怒るだろうが、そもそもインディオから搾取し続けていたのはお前らだからなぁ。
ボニファシアとニエベスの境遇を中心に整理すれば、パート間のおよその時系列は見えてくる。このDパートが現在時としてはいちばん過去なんじゃないか?
I部Bフシーアが回想するラリータとの出会いと「島」に辿り着く過程
→II部1,2-D伍長がウラクサ略奪の返り討ちにあい、船頭ニエベスはフシーアの島へ
→II部2-Bで回想されたラリータとニエベスの駆け落ち(サンタ・マリーア・デ・ニエバへ)
→第I部A伝道所からボニファシアが生徒を逃して退所
→II部1-Aニエベス&ラリータ夫妻がボニファシアを引き取る
→II部2-A軍曹リトゥーマがニエベス夫妻の家に招待され、ボニファシアと知り合って共にピウラへ
→Eリトゥーマは事件を起こしてリマへ収監され、ボニファシアは〈緑の家〉の娼婦に
→Eリトゥーマが帰郷
まだまだ書き足りない筋がたくさんある
E
ラ・セルバティカ=ボニファシア?はホセフィノに連れられてリトゥーマと再会して、フロアで踊る。リトゥーマは、なんとか自分がショックを受けていないふりをするのに必死。そんな様子をホセフィノや店主ラ・チュンガ・チュンギータは複雑なまなざしで見つめる。
3章
A
リトゥーマ軍曹が、家を空けるニエベス&ラリータ夫妻に頼まれてボニファシアに会いに行き、強姦して処女を奪う。まったくどいつもこいつも……
ランチって住居兼用の船のことか?
B
ボニファシアもフシーアの島にいたことあるの!? シャプラ族とウアンビサ族が抗争した時に、シャプラ族でボニファシアだけは殺されずにフシーアとウアンビサ族に島へ連れてこられた。当時12歳。意外と大きい! もっと幼児かと。
じゃあ船頭ニエベスやラリータとは、その時からの付き合いだってことね。でも、そのあとニエベスとラリータが駆け落ちした際には、ボニファシアは島に残された。そのあとボニファシアはどういう顛末でサンタ・マリーア・デ・ニエバの伝道所に引き取られたんだ? ひたすらに翻弄される気の毒で壮絶な人生すぎる。伝道所に引き取られたのが何歳のときなんだろう。
じゃあII部2-Dのウラクサの少女はボニファシアではない? そもそもアグアルナ族ではないものな。
フシーアが協力して島で一緒に住んでいるウアンビサ族は、インディオのなかでも誇り高く好戦的な部族らしい。
町から密林に逃げて死にかけていた白人のパンターチャを拾って島に連れてきたのはアキリーノじいさん。パンターチャは麻薬中毒ですっかり頭がやられている。だから疎まれているのか。しかし彼はフシーアが病に侵され寝たきりになった時に寄り添ってくれた。
C
短い
行方不明だったアントニアは、アンセルモが〈緑の家〉に匿っていた!? のに、彼女は死んでしまったと洗濯女フアナ・バウラに慟哭して謝罪するアンセルモ。どういうことだ…… よく分からないけど、この小説には基本的にクズな男しか出てこないのか。船頭ニエベスとアキリーノじいさんだけが良心
D
襲撃したウラクサで、アグアルナ族の男たちを鞭打ちし、女たちを輪姦する治安警備隊の男たち。(行政官フリオ・レアテギ、キローガ大尉、デルガド伍長)
捕虜のインディオ女性たちをレイプしようと上司に願い出る、顔のない男たちの描写がホモソーシャルをうまく表現していてうげぇっとなる。
そう言えば、ご婦人方のことをすっかり忘れていたな、大尉、とフリオ・レアテギが言う。兵隊たちは急に立ち上がると、何も言わずに行政官のほうへ進み出る。口元が引き締まり、据わった目がぎらぎら光っている。しかし、こういうことは行政官のお心ひとつですからね、ドン・フリオ。決めていただければ、わたしのほうは言われた通りにします。フリオ・レアテギは兵隊ひとりひとりの顔をじっと穴のあくほど見つめる。兵隊たちの体がひとつに溶け合い、沢山の顔がいっせいに行政官のほうへ突き出される。 p.338
ここで平然を気取っているキローガ大尉も、このあと夜にこっそり捕虜の少女を犯そうとするという……。
こういう軍隊の男たちを、より滑稽に風刺したのが『パンタレオン大尉と女たち』か。
キローガ大尉に襲われかけてフリオ・レアテギに助け出された少女、やっぱりボニファシアなのか? 伝道所に連れて行くと言われてるし……。
シャプラ族→フシーアの島→フムに連れられアグアルナ族→治安警備隊の捕虜→伝道所→ニエベスの家→軍曹リトゥーマとピウラへ ってこと??
フムも鞭打たれる。フムの遍歴・時系列もよく分からん。フシーアの島からニエベスとラリータが駆け落ちしたあと、フムとボニファシアはウラクサのアグアルナ族で暮らしていたのか? だとすればいちおう辻褄が合うか……??
ウラクサでニエベスやデルガド伍長が襲われて(I部4-D)から、治安警備隊が仕返しするまでに相当な期間が空いてないとおかしくなる。だって、ニエベスがフシーアの島に辿り着いて、シャプラ族からボニファシアがやってきて、ニエベスとラリータが駆け落ちして、フムとボニファシアがアグアルナ族に合流して……という一連の出来事があいだに挟まっていないとおかしいので。それとも密林の時間は変幻自在とかいうあれなのか。
足もとでは焚き火が死にかけた老犬のように喘いでいる。 p.340
比喩
E
リトゥーマが〈緑の家〉の外でホセフィノを半殺しにする。エル・モノやホセ、そしてラ・セルバティカ(=ボニファシア?)も加勢する。リトゥーマはホセフィノを殴ったかと思えばラ・セルバティカを蹴りもして、とにかく情緒不安定。
なんでボニファシアが娼婦になったことでリトゥーマはホセフィノを裏切り者扱いするんだ。逮捕前に「あいつを頼む」と約束でもしてたのか。それとも、娼婦になったことを服役中のリトゥーマにいち早く伝えなかったことに憤っているのか。
幼稚でヒステリックなクズ男の博覧会、といった様相を呈してきた。き、きつい・・・・・・
ラ・セルバティカとボニファシアが別人の可能性もまだあるか……?
Ⅱ部まとめ
第Ⅱ部おわり。
Ⅰ部から俄然、各パートが繋がって物語の全体像が浮かび上がり始めた。ただ、それゆえにさらに疑問も沸いた。
ボニファシアの遍歴がとにかく凄まじくて、ちゃんと整理したい。フシーア-ラリータ-ニエベスがNTR不倫駆け落ち三角関係を成していた、というのがこの第Ⅱ部でわかったいちばん大きな情報だろう。また、サンタ・マリーア・デ・ニエバの「軍曹」がEのリトゥーマだったと分かったのもデカい。(でも単なる役職名だから、リトゥーマ以外の軍曹を指している場合もあるかもなんだよな……)
ニエベス&ラリータの仲介で、リトゥーマとボニファシアが出会ったのだということも。
ボニファシア→{フシーア-(ラリータ-ニエベス)}→リトゥーマ という図式
フシーアの島からニエベス&ラリータが駆け落ちしたあと、①フシーアはどうしたのか、②ボニファシアはどうしたのか、③フムはどうしたのか、が知りたい。
Cの孤児アントニアは何だったのか、本当に死んでしまったのか気になる。
~ここから下巻~
Ⅲ部
下巻は上巻よりも1.5倍くらい分厚い!! 本文450ページ
0章
サンタ・マリーア・デ・ニエバ駐屯地に、新たな中尉が赴任してきた。坊主のインディオ、フムが吊し上げられた話を聞く。ジャンプカットで過去と切り替わって行く。
→II部3-Dの続き。ウラクサのアグアルナ族、フムをボルハ守備隊が罰する。
意味不明だったI部2-D(F)パートのフリオ・レアテギ含む4人が揃っている!
I部4-Aで言及されていた、罪を犯したインディオが木に吊るされている場面だ! フムだったのね。じゃあ確かに、ここでの少女はボニファシアだ。「悪魔」ってこのことかぁ。
通訳って船頭ニエベスだったのかよ。まぁフシーアの島でウアンビサ族と住んでいたものな。
ニエベスも駐屯地に来て2ヶ月。
やっぱり、ボルハ守備隊と治安警備隊は別々のようだ。
デルガド伍長がいて、フムを吊し上げたのが前者。
現在時制で、新たな中尉が来たのが治安警備隊。
そして船頭ニエベスは、ボルハ守備隊→治安警備隊と両方を渡り歩いており、しかもボルハ守備隊から行方不明になった船頭が自分のことだと治安警備隊の連中にはバレていないっぽい。どんな顔して聞いてるんだ……
1章
A
II部Aの続き
伝道所の生徒たちは無事に保護されたらしい。
ニエベス夫妻の所にボニファシアが身を寄せていることに〈デブ〉が気付き、彼女を狙っていることをリトゥーマ軍曹に話す。軍曹はもうボニファシアに惚れており、「この任務が終わったら結婚しよう」と盛大なフラグを建築。他の男に彼女が見られるのも嫌がり、すでにモラハラ暴力夫の片鱗が出ている。
ボルハ守備隊のキローガ大尉と、治安警備隊の「中尉」がごっちゃになりがち。
フリオ・レアテギの命令?により、サンティアーゴのフシーアの島にいる盗賊たちを討伐しに行くことに。治安警備隊とボルハ守備隊の共同作戦。
これで盗賊=フシーア達、はほぼ確定。
その命令を聞いた船頭ニエベスは、理由をつけて断る。そりゃ、フシーア達にしろボルハ守備隊にしろ、以前一緒にいたんだから気まずいし面倒なことになるから避けたいよなぁ。
〈デブ〉は残るらしいが、それで軍曹が留守のうちに寝取られたりしない? 大丈夫?
B
II部よりも以前のフシーア達の話。というか、Bで初めて、過去回想の形式ではなく、当時の時制で語られるパートだ。
フリオ・レアテギから逃げ出したフシーアと、彼の後を追って付いてきたラリータが、エクアドルに行くことを諦めて、サンティアーゴ近くの密林の奥の「島」を開拓して定住するまで。鬱蒼とした密林の描写がなかなか良い。島の木を丸ごと焼き払うくだりも。
フシーアって、こうして島を開拓して住み始める前にも、取引相手のウアンビサ族と半年ほど暮らしたり、アキリーノじいさんと島に居たことがあるんだ。
C
あ〜やっぱりアントニア死んじゃったんだ。可哀想に。ガルシーア神父と町の女たちが葬列を成して狂騒的になっていく描写がとても好き。
〈緑の家〉が燃えはじめた。ゆるやかに渦をまいてピウラの空に立ち昇って行く灰色の煙の中に、鋭い刃を思わせる紫色の炎がのぞいていた。 p.55
アンセルモは料理人アンヘリカ・メルセーデスと子供をもうけたのか?
けっきょくアントニアは何故死んでしまったのか分からん。
あの店で働いている女、ガジナセーラの女、マンガチェリーアの住人、彼らは誰ひとりとして火に包まれ燃え落ちていく〈緑の家〉を見ようとはしなかった。またしても、いつものように砂の雨が降りはじめた。この地上につかの間姿を現した〈緑の家〉は、再び砂漠の砂に帰って行った。 p.59-59
これ時系列いつなんだ。このときまだアンセルモが盲目になっていないとすれば、Eで〈緑の家〉があるように、このあと再建されるのかな。
E
あれっ DじゃなくてEの続きだ! はじめて一つの章に5つではなく4つのパートが収められている。まぁ実質、0章がDだったからな……
すぐ前のCで語られた〈緑の家〉焼失時、ホセフィノは5歳だった。なるほど、そういう時系列か。〈緑の家〉はまた再建されたってことね。
火事の元凶かつ張本人であるアンセルモはホセフィノやラ・セルバティカ(ボニファシア)たちに、火事は無かったととぼける。もしかしてホセフィノたち若い世代は、アンセルモが〈緑の家〉の家を建てたこと自体を知らない?
ラ・セルバティカが知りたがっていた回想。ホセフィノとレオン兄弟がポーカーで買って気前よくラ・チュンガ・チュンギータの店で飲んでいたら、農夫セミナリオが絡んできて喧嘩になりかける。相手は拳銃を持っているのでやり過ごす。
2章
A
リトゥーマ軍曹が「島」へ遠征にいっているあいだに、結婚式用の衣装の布地を手に入れようと、ボニファシアはニエバ川でいかだ行商をしているアキリーノじいさんのところへ赴く。アキリーノはボニファシアを見て、かつて「島」にいたインディオの少女だと思い出す。
ふたりはラリータ&ニエベス夫妻の家に集まり、ボニファシアは無事に布地を貰う。
アキリーノじいさんと、ニエベス夫妻の子供アキリーノが初めて同時に出てきた。
アキリーノじいさんがサンタ・マリーア・デ・ニエバに来る途中に、島への遠征部隊(治安警備隊とボルハ守備隊)とすれ違ったらしい。何か不穏な様子。
B
島でフシーアとラリータ夫妻は、麻薬をやったパンターチャのうわ言を聞く。
物資を届けてくれるはずのアキリーノじいさんがなかなか来ないので、みんなで亀を捕まえにいく。
ラリータが妊娠し始めている。この子が少年アキリーノなのか、堕したりするのか。
この頃、フリオ・レアテギはサンタ・マリーア・デ・ニエバ行政官の座を退いて、イキートスへ行くようだ。
ウラクサでのボルハ守備隊・デルガド伍長ら袋叩き事件があり、このあともうすぐ船頭ニエベスが島に流れ着く時系列。ボニファシアはまだ先か。
C
〈緑の家〉が焼失して、ドン・アンセルモはピウラの町の反対側の貧困地区マンガチェリーアに移り住んだ。殿上人から浮浪者・ハープ弾きへの転落。
ラ・チュンガ・チュンギータってアンセルモの娘だったんだ。前回の1-Cで燃え盛る〈緑の家〉からアンヘリカ・メルセーデスに助け出された赤ん坊がラ・チュンガか。やがて、アンヘリカを育てていたフアナ・バウラに引き取られることに。アンセルモを赦したのだろうか。亡くなったあの子の代わりだろうか。
ピウラの街区が開発されて急速に近代化していく様子。マンガチェリーアだけは掘立て小屋のまま変わらない。ノスタルジー
E
第3部はどの章も4パートで通すようだ。Dがいちばん興味なかったからなくなって有難い。
あ〜リトゥーマが刑務所送りになる事件って、この日に農場主セミナリオを銃殺でもするのかな。次章あたりでは語られるだろう。
いつの話かようやく分かった。
治安警備隊("ポリ")に入隊したリトゥーマ軍曹が、サンタ・マリーア・デ・ニエバで結婚したボニファシアを連れて故郷ピウラに赴任してきた頃の話を、あとから(リトゥーマ逮捕後に)回想しているんだ。
その頃ボニファシアは妊娠していた。(これが後に堕ろされる子か)
ホセフィノとレオン兄弟の3人がラ・チュンガ・チュンギータの店で飲んでいて、農場主セミナリオに絡まれかけていたところに、リトゥーマが部下を連れて見回りにやってくる。部下を帰したあとはホセフィノたち4人で楽しく飲んでいるが、再びセミナリオが絡み、リトゥーマをめちゃくちゃ煽る。一度頭を冷やすといってリトゥーマが外に出ている隙に、ホセフィノは親友の妻ボニファシアに手を出そうとしていると話す。ホモソだな〜。これで実際にこのあとリトゥーマが刑務所行きでいなくなって、ボニファシアは好き放題されたってことか。そりゃボコボコにされるわ。
「なんとかしてあの女と寝てみたいと思うんだが、自分でもその理由が分からないんだ」とホセフィノが言った。「どこといって魅力はないんだがな。」 p.116
そりゃあ親友リトゥーマがあれだけ惚れているところを見せられているからでしょう。欲望の模倣。
アンセルモの楽団仲間であるエル・ホーベンがめっちゃいい。ボソっとそれっぽい深そうなことを言うおじさんキャラ。
「美人とは言えませんが、丸ぼちゃのかわいい女ですよ」とボーラスが答えた。「ハイヒールを履くと、まだ様になりませんがね。」
「ですが、きれいな目をしてます」とエル・ホーベンが言った。「大きくて神秘的な緑色の目ですが、きっとお師匠さんがごらんになったら、気に入ると思いますよ。」
「緑色かね?」とハープ弾きが言った。「それはいい。」 p.109-110
ボニファシアってそんなに美人ではないのが共通認識なのか。そして緑色がとにかく好きなアンセルモ。
3章
A
ウアンビサ族の島に着いた中尉たち。しかしそこはもぬけのからで、もうだいぶ前に出て行ったらしかった。
治安警備隊のリトゥーマ軍曹と、ボルハ守備隊のデルガド軍曹(伍長から変わったんだ)。
治安警備隊が警察で、ボルハ守備隊が兵隊ね。ようやく違いがわかってきた。
おそらくパンターチャだと思われる男が、ギリ生き残っていた。薬草でうわ言を吐いて夢見ている。成果としてなんとか生かして連れて帰りたい中尉たち。
この新任中尉の名前が一切出ないのが怪しすぎる。既に出てきてる誰かかなぁ。
B
ラリータの陣痛が始まり、ドン・アキリーノが産婆代わりに出産介助をする。だからアキリーノと名付けたのか! 妻の出産時にも酷い接し方をするし全然協力しないフシーアまじでクズ男だ。
船頭ニエベスはひと月前から島に居着いており、ウアンビサ族たちがアグアルナ族のフムをこないだ連れてきたところ。
フシーアとアキリーノじいさんはこの時点でもう10年の付き合い。2人の来歴が、アキリーノの口から出産前のラリータに語られる。それを最初から知りたかった。フシーアがアキリーノを誘って、野営地やインディオの集落への行商人的な仕事を始める。そのうちフシーアは裏切りや盗みをしまくって警察にも目をつけられ、ウアンビサ族と一緒に暮らしたり、アキリーノじいさんと一度別れたりする。そしてフリオ・レアテギの下で働くようになる。
ドン・アキリーノは跪いて彼女を撫でている。もう少しの辛抱だよ、ラリータ、しばらくしたら生まれるから、落着くんだ。フシーアが横から、少しはウアンビサ族の女を見習ったらどうだ。子供が生まれそうになると、あの連中は密林へ行って、子供を産んでくるんだぞ。 p.140
ガチでクズすぎる!!!
頼むから、ラリータの出産と、アキリーノとフシーアの会話が別々の場面のクロスカッティングであってくれ……と願うほど。でも残念ながらここは切り替えとかではなく、マジで妻の出産中に隣で全然関係ない儲け話をしているらしい。……いや、やっぱり回想に切り替わってるなこれ。でもフシーアがクズ夫であることは変わらないが。。
アキリーノじいさんが聖人すぎる。そりゃ名前にあやかりたくもなるわ。
ん?? フムはサンタ・マリーア・デ・ニエバで木に吊るされて拷問を受けた後か! ……じゃあボニファシアはいない?? どうなっている。なにか大きな勘違いをしていたっぽい。
フムとボニファシアは一緒にウラクサから島に連れてこられたんじゃなかったっけ。違うか。
上巻p.322 II部3-Bの内容では、ボニファシアは12歳の時にシャプラ族の生き残りとして島に連れて来られた。そのときすでに少アキリーノは生まれてある程度育っているので、このパートよりも数年後ということになる。でも「ボニファシア」とは一度も明言されてないんだよな〜〜
あ、そうか。ニエバでフムが木に吊るされた時、すでにボニファシアもニエバに連れて来られているのだと勘違いしていたが、ここがだいぶズレていて、間に何年もの月日が流れているのかな。整理してみる。
ウラクサのアグアルナ族の長フムが、やってきたデルガド伍長を袋叩きにする
→報復としてニエバに連行されて木に吊るされる。
→ウラクサに戻ってから、どういうわけかアキリーノじいさんに付いて「島」へ1人で来る。
(このひと月ほど前に、デルガド伍長と一緒にウラクサに行った船頭ニエベスも島へ流れ着いている。なおここまでボニファシアはずっと、故郷シャプラ族で暮らしている)
→島のウアンビサ族がシャプラ族と交戦してボニファシアが島に来る→まもなくニエベスとラリータが駆け落ち
→フムがボニファシアを連れてウラクサへ戻る?
→またウラクサがニエバの隊に襲撃されて、ボニファシアは捕虜にされたのち、伝道所に入れられる
→フリオ・レアテギによってイキートスへ連れていかれそうになるが、無しになる
→伝道所で下働きをしていたが、生徒たちを逃がしてしまう
→ニエベスとラリータ夫妻のもとへ
→軍曹リトゥーマと出会い結婚
→ピウラへ
→リトゥーマが刑務所送りになり、ボニファシアは娼婦になる
……ざっとこんな感じか?? つまり、ウラクサは少なくとも3回は襲撃されているし、フムは2度、ニエバで捕虜となっているってことか。しかも、フムと船頭ニエベスは、よく考えたらはじめは完全に敵対関係だったのに、島で共同生活することになっているという。。
C
アンセルモがエル・ホーベン・アレハンドロとトラック運転者ボーラスと知り合って3人で楽団を結成するまで。推しのことが語られて嬉しいよ…… このトリオ尊いなぁ
アンセルモとホーベンたちはそんなに歳の差があったんだな。同じくらいの年齢かと。
下町マンガチェリーアの人々の人情気質がとてもグッとくる。『丁子と肉桂のガブリエラ』を思い出す。
E
農場主セミナリオとリトゥーマは互いに銃を手に掛けるが、店主ラ・チュンガがあいだに割って入って場を取りなす。このクソガキの男どもめが……。
セミナリオは、店を貸し切って、叔父チャピロ・セミナリオをピウラにはもういない「本物の男」だと自慢する。ドン・アンセルモに叔父の思い出話をしてもらうなど。(アンセルモは口を滑らせて〈緑の家〉のことに触れてしまい、問い詰められる)
それにリトゥーマも張り合い、サンタ・マリーア・デ・ニエバで尊敬していたシプリアーノ中尉のことを自慢し始める。
リトゥーマ軍曹と一緒にニエバの治安警備隊にいたのはシプリアーノ中尉か。そんなに女性人気があったのか。
やがて、中尉のロシアンルーレットの話題から、セミナリオとリトゥーマのふたりで今からロシアンルーレットをやることに……
4章
A
中尉たちは、「島」にいたパンターチャから諸々を訊き出し、船頭ニエベスがもともと島にいたことを知ったのかな。
すでに島を離れてサンタ・マリーア・デ・ニエバへ帰ろうとしているが、密林の雨で、ウラクサ?に足止めされている。
パンターチャへの尋問・拷問は続く
ニエバで捕まっていたフムを一度釈放したのはフリオ・レアテギだったんだ。
そうか、最初の拘留でフムの通訳をしてたのはニエベスだから、嘘の通訳をしていた可能性もあるのか。。
とりあえずボニファシアはフシーアがいなくなった後に、フムかウアンビサ族と一緒に島を出ていったらしい。
B
アキリーノを出産した後のラリータ。フシーアとまだ正式には結婚してないのか。だんだんフシーアがつれなくなってきて、ラリータはフムとの距離を縮めようとしていた?
突然出ていったフムが島に帰ってきた、というが、これは一度目の拘留(木に吊るされ髪の毛を剃られる)の前からすでに島にいたってこと? フムはウラクサと島をもともと行ったり来たりしていたのか? フムの遍歴がいまだによく分からない。
Ⅳ部ではBパートも無くなっててほしいな……ACEだけでいい
C
ピウラのあちこちには、再び娼家が建ち始めていた。
ドロテオの店で働いていたラ・チュンガは、ドロテオと大喧嘩した末に、どういうわけか店主の座を奪った。ラ・チュンガを引き取っていた洗濯女フアナ・バウラは亡くなった。パトロシニオ・ナーヤも。フアナの葬式で、親子?であるアンセルモとラ・チュンガは相対しても特に抱き合うなどはしなかった。(この二人は親子でいいのか? ラ・チュンガの母が一切語られないし……)
ラ・チュンガは自分の店をレストランとして改装し、〈緑の家〉の再来かと噂された。(緑色には塗っていない)
ラ・チュンガはアンセルモたち楽団に、自分の店で演奏しないかと交渉を持ち掛けた。やっぱり父親のことを気に掛けているってことかなぁ
Cパートがいちばん好きなので、あっという間に終わってしまって寂しい
E
完全にキレたリトゥーマ軍曹がセミナリオにロシアンルーレットを持ち掛け、後攻のセミナリオが当たりを引いて死ぬ。なんとも愚かな、茶番劇。政治運動とかで投獄されたわけじゃないのかよ……
今気付いたんだけど、もしかして、ラ・セルバティカ(=ボニファシア)が〈緑の家〉で働き始めたというのは、娼婦になったのではなく、ラ・チュンガが再建したレストラン〈緑の家〉の給仕になっただけか。リトゥーマがあんなにショックを受けていたのは何故だ。ボニファシアがホセフィノと同棲し始めてて妻を寝取られたからってこと?
Ⅳ部
第3章まで
各章のパートはⅢ部と同じくABCEの4つずつのようだ。
0章
島の一行(フシーア、パンターチャ、ニエベス、ウアンビサ族の男たち)がムラート族の集落を襲い、ゴムと革を強奪する。ボスであるフシーアの命令を守らずにウアンビサ族のインディオは、ムラート族の呪術師の老翁の首を切ってしまう。命令をきかせられないことで、とフシーアは憤る。彼の脚が病に侵されているのではないかとニエベスやパンターチャは噂する。
先日フムが島からいなくなったらしい。ニエベスはムラート族のアキータイという装飾品?をこっそり持ち帰る。ラリータへの贈り物かな。パンターチャはボニファシアを狙っている。
1章
A
リトゥーマ軍曹とボニファシアの結婚式の日が近づいてきている。ラリータは伝道所に、ボニファシアの結婚が決まったことを報告しに行く。ボニファシアが最も懐いていたシスター・アンヘリカは、彼女には絶対に伝道所へ足を踏み入れさせない、という。
リトゥーマは先に「島」遠征から帰らせてもらい、シプリアーノ中尉はまだ川に足止めをくらってサンタ・マリーア・デ・ニエバに戻ってきていない。
結婚式当日。礼拝堂で、ドン・ファビオや治安警備隊の4人たち、そしてシスターたちの列席のもと、無事に執り行われる。
シスター・アンヘリカ……泣泣泣 ツンデレおばあさん。色々言うけどボニファシアのことが大切で仕方ないんだね……
シスター・アンヘリカが、どうして一度も顔を見せなかったのです? いつもいつもシスターのことを考え、夢に見ていたんです。それを聞いてシスター・アンヘリカが、さあ、ここにあるものをお食べ、ジュースもあるからね。
「わたしは調理場に入れてもらえなかったのですよ、ドン・ファビオ」とシスター・グリセルダが言った。「今度は、シスター・アンヘリカのお手柄ですわ。お気に入りのボニファシアのために何もかも用意なさったのですから。」
「この子のためでなかったら、とても出来ませんでしたよ」とシスター・アンヘリカが言った。「この子がまだ小さかった頃は、乳母か召使のようにこき使われ、今度はコックさんに早変わりしたんですよ。」
なんとか怒ったような気むずかしい顔をつくろおうとするのだが、声がかすれ、異教徒のようなしゃがれ声になったかと思うと、急に目がうるみ、口もとが歪んですすり泣きはじめた。そして、指の曲がった手で何度もボニファシアの背中を叩いた。 p.231
愛でしかない。多幸ムードすぎてこのあとが怖い。ボニファシアはけっきょくサンタ・マリーア・デ・ニエバを離れて夫リトゥーマに付いてピウラへ行ってしまうんだもんな……
「いい旦那さんになるんですよ。」シスター・アンヘリカは軍曹の腕を掴み、激しく揺すぶりながら唸るように言った。「あの子に手をあげたり、ほかの女といっしょになったりしたら許しませんからね。やさしくしてやるんですよ!」
「ええ、もちろんですよ」と軍曹はどぎまぎして答えた。「妻を深く愛していますから、どうかご安心ください。」 p.233
B
このパートでは久しぶりに、フシーアとアキリーノの川下り現在時制。それと、フシーア&ラリータ夫妻の仲がかなり悪化してきている頃の村の回想。フシーアの脚の腐敗が進み、夫婦の営みはもう出来なくなっている。ラリータは船頭ニエベスの小屋へ。
シプリアーノ中尉が新任かと思っていたが、シプリアーノから別の新任中尉になったのか。
フムは、島とニエバをこっそり行ったり来たりしていて、レアテギに取られたウラクサのゴムを返してもらうよう働きかけていたらしい
フムが話していた、ウラクサに住み着こうとした2人の白人ボニーノとテオフィロについて。ようやく名前が出てきた。フシーア&アキリーノじゃなかったのね。フムたちウラクサのインディオを扇動して、辺りの白人を皆殺しにしようと画策。
C
これまでのCパートのように三人称叙述ではなく、おそらくドン・アンセルモの主観的な語り(意識の流れ)っぽくなっており、かなり意味が取りづらい。アンセルモを「お前」と二人称の主語で語ってもいる。なんだこれ……
アンセルモは、盲目の少女アントニアに恋していた? 16歳くらいの少女に……(思っていたより大きかった)
アンセルモが、アントニアを引き取って〈緑の家〉に連れていく前か、直後くらいの時系列がシャッフルされて渾然一体となっているよう。正確には全く分からない。
アンセルモの従者ハシント、友人?のドン・エウセビオも登場。
E
リトゥーマ&ボニファシア夫妻がピウラで暮らし始めた頃。まだリトゥーマが殺害事件を起こす前。
リトゥーマとレオン兄弟がたしか従兄弟だから、ボニファシアをホセたちは「従姉さん」と呼んでいる。
なかなか都会のピウラに馴染めないボニファシアに酷く当たるリトゥーマ。ハイヒールをうまく履けない妻を殴る。出身地サンタ・マリーア・デ・ニエバを田舎だとバカにする。
なんでみんな結婚したら亭主関白みたく酷いモラハラDV男になっちゃうの? ニエベスだけだよマトモなのは……
レオン兄弟は床に坐ると、手をあげるのは愛している証拠だって言うからね。チュルカーナ山に住んでる女たちがよく言うじゃないか、殴る亭主ほど奥さんを愛しているってね。もっとも、密林のほうじゃどうだか知らないけど。一、ニの三、さあ、ねえさん、もう旦那を許してやってくれよ。機嫌を直して、顔を起こすんだ。 p.258
夫リトゥーマが寝ている隙に、ホセフィノがボニファシアを口説きにかかる。ボニファシアは、夫に知られることを恐れてはいるが、好意を寄せられていること自体は拒んでいない? だからリトゥーマ収監後にくっついたのね。残当
2章
A
リトゥーマとボニファシアの結婚式からしばらく経って。
中尉の命令で、リトゥーマ軍曹率いる治安警備隊の一行は、元盗賊の仲間だった船頭アドリアン・ニエベスを逮捕しに行く。島にいた麻薬中毒のパンターチャと共に収監する命令。
リトゥーマは、ボニファシアとの仲介をしてもらい恩人であるニエベスをなんとか逃がそうと説得したが、ニエベス本人がもう密林を逃げ回るつもりがなく、仕方なく逮捕した。ボニファシアの身体を狙っていた治安警備隊の〈デブ〉は、今度は夫が逮捕されて1人身になるラリータを狙っている。
B
アキリーノは、脚が壊死しかかっているフシーアを、サン・パブロで降ろそうとしている。イキートスの対岸の地域。フシーアは他の場所で降ろしてほしい。彼らが島を出てから30日目か…… 意外と経ってない?
一方、ラリータがニエベスと共に島を夜逃げする時が回想される。フムが逃げる手助けをしてくれた。
フシーアは駄目になっている脚を妻ラリータに見られたくなくてあんな態度をとってるのか?
パンターチャはシャプラ族の女……ボニファシアと出来ている? ただ面倒を見てあげてるだけかな
C
やべ〜〜・・・ 前章から引き続き、アンセルモおじさんによる16歳の盲目の少女アントニア(トニータ)への恋というか性欲・支配欲にまみれた激キモの内的独白が延々と垂れ流される。『ロリータ』始まったな……
アンセルモのトニータへの関わり方は、完全に、現代でいうところの性的グルーミングだ。あくまで両想いだから!と必死に思い込もうとしている。
町の人々にバレないよう、馬に乗せて誘拐して、自分の城である〈緑の家〉の塔の小部屋で犯す……
非常に気持ち悪いのだけど、残念なことにというべきか、この小説をここまで600ページ読んできていちばん「文学的」なパートだとも感じた。ロマン主義文学の延長上。
わたしは罪を犯してはいません、神父様。あの女(ひと)を死なせたのはわたしの責任ですが、それ以外に間違ったことは何ひとつしていません。それを聞いて神父が、あなたは策を弄し、力づくであのようなことをしたではありませんか。お前は答える。いいえ、策を弄した覚えはありません。たしかにあの人は目も見えず、口もきけませんでした。しかし、それでも二人は心から愛し合い、理解し合っていたのです。そうです、これは真実本当のことです。 p.293-294
彼女は頬にお前の唇がそっと触れるのを感じる。興奮がおさまったのか、かたく強張っていたその体の緊張が解ける。熱い夏に降る雨が虹をかけて空を彩るように、お前の唇の下で彼女の肌が美しく色づく。 p.297
なんか美しい比喩で誤魔化そうとすんな!!
「お前」=アンセルモ 二人称叙述
小さな兎のようなかわいい乳房だね。夜、夢の中に現れたんだよ、この子兎たちが。部屋に飛び込んできたので捕まえようとしたが、逃げられてしまった。だが、お前の乳房のほうがずっと柔らかくて生き生きとしているよ。 p.301
キショすぎ!!!!!
息づかいが激しくなり、両腕を広げてお前を迎える。塔の小部屋が揺れはじめ、部屋全体が熱く熱してついには燃える砂丘の中にその姿を消した。 p.301
性行為でエクスタシーに達するのをこうして婉曲的にカッコよく表現するのやかましいわ!
ロリ系エロゲが始まったのかと思った。
次章でようやく、死なせてしまった時のことが語られるのかな
E
自分でも悪い女だと思うけど、あんたが好きよと彼女が囁くように言った。「でも、そんな話はもう止めて、訊かないで。罪深いことよ。」 p.306
夫のリトゥーマが収監されたリマへ妻ボニファシアは行きたがるが、お金が無いので、ホセフィノに引き取られて身体を重ねる日々。お腹の子をたとえ流産だとしても産みたい、というボニファシアをホセフィノが「俺のプライドのために産むな!」(意訳)と罵倒する。
まじでクズ男の博覧会といった様相を呈してきている。そういうのが好きな人にはオススメ
すげぇよくある姦通メロドラマなんだよな…… ひねった構成や文体で前衛性を出しても、本質は、かなり通俗的な不倫メロドラマとミソジニー男たちの欲望にまみれた話。エンタメ。
女性がとにかく自立することが難しく、男に依存しなければ生きていけないような悲惨な境遇ばかりでつらい。そういう、男権社会の現実をありありと描き出している点で文学的に価値があるのかもしれないが……うーむ…………
リョサの本質は、ミソジニー男たちのホモソーシャルを通俗的なメロドラマに落とし込み、表層だけ小難しく風変わりにして前衛性を演出しているエンタメ小説家、なのではないか。
ミソジニー通俗小説家として開き直った『悪い娘の悪戯』のほうが大好き。
3章
A
ボニファシアとリトゥーマ夫妻が、ピウラへ向けてサンタ・マリーア・デ・ニエバを出発する。
ボニファシアとシスター・アンヘリカの関係、そしてラリータとの絆がとても良い。
ニエベスはイキートスに収監されたのか。残されたラリータは伝道所の下働きをして夫に会いに行く資金を貯めている。奇しくもボニファシアの後釜に収まったかたちだ。
B
サン・パブロに到着するも、ここに置いていかれるのをとにかく嫌がるフシーア。冷徹に話を進めるアキリーノ。
ラリータたちが島から夜逃げした後の回想。パンターチャやボニファシア、フムらを島に残して、ドン・アキリーノの薦めでフシーアは島を出たのか。そういう順番なのね
C
ウラジミール・ナボコフ『トニータ』つづき
わしはたしかにしあわせだが、彼女はどう思っているんだろう? どうにかしてそれを知ることができないだろうか。 p.337
うわ〜そういうことか…… アンセルモはアントニア(トニータ)を妊娠させていて、彼女の死後、燃え盛る〈緑の家〉から救出された赤子ラ・チュンガがその子だったのか……ドン引きにも程がある
それでも、妊娠した以上は、〈緑の家〉の女たちなど、祝って協力してくれるんだ。まぁそりゃ、アントニアやお腹の子に罪は無いし……
出産で亡くなったのだろうか というか、1年近く行方不明のまま匿っていたってことだよな……
はじめ、アントニアをもっと幼児だと思っていたので、あの赤子の母が彼女だという発想に至らなかった。
これでいいのかどうか、最後にもう一度よく考えてみるのだ。人生とはこういうものなのかどうか、もし彼女がいなかったら、あるいは彼女とお前の二人きりだったらどうなっていたか、すべては夢だったのかどうか、現実に起こることというのはいつも夢とは少しばかり違うのかどうか、よく考えてみるがいい。そして、これがほんとうに最後だが、お前はもう何もかも諦めてしまったのかどうか、そしてもしそうなら、それは、彼女が死んでしまったからなのか、それとも自分ももう齢なので、次に死ぬのは自分だと悟っているからなのかどうか、そこのところをよく考えてみるのだ。 p.343-344
アンセルモが死ぬ間際になって回想している形式だから「お前」なのか。フエンテス『アルテミオ・クルスの死』(1962)の二人称パートに影響受けてるのかな。
E
ラ・チュンガの店での勤務終わりに、ラ・セルバティカ(ボニファシア)はホセフィノの迎えを待っている。酔っ払って遅れてくる。エル・モノ(レオン兄弟)の誕生日だからと、彼女を連れていく。エル・モノはボニファシアに手を出したくて追いかけ回す。まじで可哀想
エル・ホーベンの言動相変わらず好きだ 周りの女性たちには分け隔てなく丁寧に接するが、昔の恨みで歌のなかでは女がいかに酷いかを未練がましく歌いまくる。「本当のこと」だと言って。
えっ アンセルモって密林にいたことがある? 日はアキリーノ辺りと同一人物だったらどうしよう。流石にそれはないか。
Ⅳ部おわり!
あとはエピローグ
エピローグ
エピローグは各章がパートに分かれていない!
0~3章が短く、最後の4章が50ページほどある
0章
フリオ・レアテギが、サンタ・マリーア・デ・ニエバの行政官を辞めてイキートスへ帰り実業家の本業に専念する。
その前に、伝道所に緑の目の少女を預け入れた。ボニファシアを伝道所に入れたのってレアテギだったんだ。どこかの章で、2人の少女を引き取りに来なかったっけ。あれはボニファシアじゃなかったのか。数年ぶりの再会だったってこと?
広場ではフムが見せしめとしてカピローナの木に吊るされており、尼僧院長はその処置に反対するがレアテギは聞き入れない。見せしめの後は解放してウラクサへ帰すつもり。
その後、彼はお仲間のマヌエルテアギラやペドロ・エスカビーノ、アレバロ・ベンサスと共に会食する。
1章
フシーアのもとへ1年ぶりにアキリーノが見舞いに来る。あまりの悪臭にアキリーノはすぐ帰りたがるがフシーアがなんとか引き留める。フシーアほんとアキリーノのことが大好きだなぁ
フシーア、病状が悪化したのか、かなり幼児退行してるみたくなってる。痛ましい
ニエベスの子供やあの治安警備隊の子供たちもすっかり大きくなったが、どの子もラリータにそっくりで、父親似は一人もいないよ。 p.375
えっ なに、ラリータは治安警備隊の誰かとも子をもうけたの? ニエベスが死んじゃって再婚したとか?
〈デブ〉と、か……
あ、そうか、ニエベスはイキートスに収監されたんだった。それで結局サンタ・マリーア・デ・ニエバには戻ってこれなくて、〈デブ〉とラリータが子供を産んだのか。ラリータもなかなか波瀾万丈な生涯だ。それでも生きててなにより
2章
ドン・アンセルモが倒れ、ラ・セルバティカ(ボニファシア)がタクシーで連れてきた仇敵ガルシーア神父に看取られて、大往生する。最終章はこういう臨終の雰囲気が色濃い。
ラ・チュンガは自分の父親だとわかってるよなぁやっぱり。
3章
ラリータは、息子アキリーノの結婚式のため、夫ウアンバチャーノ=〈デブ〉と共に故郷イキートスへ行く。夫は船酔い
アキリーノ少年も立派になって……
かつての夫ニエベスは最近釈放されてブラジルの方へ働きに行ったらしい。もう離婚手続きなどはしてるってこと? 何があったんだ…… 前夫の話題になるとウアンバチャーノは気まずそうにして話を逸らす。
4章
2章の続きだ。アンセルモを看取ったガルシーア神父とセバーリョス医師の帰路。マンガチェリーアのアンヘリカ・メルセーデスの店へ朝食を食べに寄る。
〈緑の家〉の存在はピウラの若者にとってもはや都市伝説と化している。火事はおよそ30年前か 神父が「火刑人」と揶揄されるようになった原因
アントニアが死にかけており、アンセルモがセバーリョス医師を呼びにきたときを回想。当時、医師や神父は30代。意外と若い? 現在70歳いってないのか。〈緑の家〉の塔に入ってはじめて、セバーリョスは、アンセルモの「妻」がトニータだと知った。やはり出産時のことだろうか
p.421 突然場面が切り替わる。ラ・セルバティカ(ボニファシア)をホセフィノが強姦しようとしている? あ、ちがう。出産か。ホセフィノとの子なのか、それともリトゥーマとの既に妊娠していた子なのか……。
アントニアとボニファシアの、30年の時を隔てた出産シーンを同時並行で描く。いかにもなクライマックスだなぁ 出産シーンのカットインといえば『さよならの朝に約束の花をかざろう』を思い出す(夫は戦争、妻は出産、という夫婦のステロタイプ性役割を強調する演出)。
そして、現在時制でガルシーア神父が震える手で肉を食べていることも、セバーリョスが語るアントニアの出産・死亡シーンとあからさまに重ね合わされて対比されている。アンヘリカ・メルセーデスは当時15歳の「生娘」。
ドミティーラが、すっかりマンガチェリーアの人々にとって「聖女」になっている。皆に愛されたひとが死後このように語り継がれてローカルに神格化される風習はなかなかグッとくる。
アンセルモがアントニアに対して行ったことの是非を、今さらセバーリョス医師とガルシーア神父が議論する。セバーリョス医師が擁護しているが、こればっかりは完全に神父側だ(というかガルシーア神父はこの小説でずっと正論しか言っていない)。アントニアがいくら彼に懐いて愛していたように見えるからといって、アンセルモの加害性は変わらない。権威勾配とかグルーミングという概念が存在しない時代だからなぁ……
レオン兄弟がアンヘリカ・メルセーデスの店やってきて神父や医師と合流。神父とこの店で会えた珍しさにはしゃぐが、アンセルモの訃報を聞いて流石に御悔みムードになる。ボニファシアとリトゥーマも来て、マンガチェリーアのこの店で通夜をやりたいと掛け合う。リトゥーマがミサをガルシーア神父に頼もうとして、罵り合いになる。前言撤回。やっぱりこの神父もなかなか酷い。
えっ アンセルモってボニファシアと同郷なの!? サンタ・マリーア・デ・ニエバ近くの村、密林育ち。だから〈緑の家〉や緑のハープだったのね。ニエバ編の別名の誰かと同一人物かなぁ……『街と犬たち』でもそうだったし。ニエベスか、アキリーノだと面白いが、時系列が矛盾しまくる。
現在はリトゥーマをボニファシアが養っている状態か。ホセフィノはどうなったんだろう。そしてさっきの出産回想は、やっぱりリトゥーマが逮捕された時に孕んでいた子で、死産なのかなぁ。
ホセフィノとはボコボコにして以来、喧嘩別れしてマンガチェリーアから追放したのか…… ボニファシアはホセフィノに復讐されるのが恐いのでリトゥーマと一緒に住んでいる。
おわり!!! 最後もガルシーア神父とセバーリョス医師のふたりで締め。これまでそんなに中心的な位置を占めていなかったこの2人がこんな大役を仰せつかるとはなぁ。
なんというか、いろいろあったけど、ドン・アンセルモはマンガチェリーアの人々にとっては愛されていたし、亡くなって哀しいね。すべては過ぎ去ってゆくね…… 的な、男の郷愁と悲哀エモみたいな終わり方だった。ロリコンクズ男をそんないい話風にされても納得はできない。主人公といっていいボニファシア(ラ・セルバティカ)のラストも、釈放されて帰ってきた無職の夫リトゥーマをヒモとして養って〈緑の家〉で働いていて、相変わらず夫からのDVモラハラはあるけどなんやかんやピウラで楽しくやってますエンドで、それでいいのか……とモヤモヤはする。(現〈緑の家〉は娼館じゃなくて単なる飲食店なんだよね? 昔の〈緑の家〉を知っている人たちが引きずって勘違いしてるだけってことだよね)

