『全校生徒ラジオ』有沢佳映(2024)

 

 

 

こちら↑の記事を読んで興味を持った(ありがとうございます)のですが、年末に実家へ帰省したらなんと!用意されていました……

 

 


2024/12/28~30
3日間


横書き。基本的にポッドキャストの会話文だけで進む。戯曲みたいな。マヌエル・プイグウィリアム・ギャディスエヴァン・ダーラのような。

意外と読みにくい。女子中学生の雑談のリアリズムを志向しているのか、非常に内容が取り留めのないもので、ほんとうにポッドキャストを垂れ流して聴いている感じだから。読書!って気構えでいくと徒労感が半端ない。

テキストは、そのポッドキャストをとあるリスナーの同学年男子が全編文字起こししたものである、という設定。あくまで文字化されて書かれたものであるという位相ヘの執着があるのかは分からない。どちらかというと、その男子との関係のドラマをやりたいがための建付けっぽい。

見知らぬ同い年女子たちのポッドキャストを毎回文字起こしするってかなりヤバいけど、各話の結部にあるこの男子パート(ゆいいつの地の文)がいちばん面白い気がする。ここがなかったら読める気がしない。

 

このポッドキャストが面白いかどうか客観的に判断するために、男の子が自室でなく家の色んなところや外で聴いてみるのおもろい。

 だからまず、自分の部屋から出た。『全校生徒ラジオ』を家の中のいろんな場所で聴いてみた(もちろんトイレと風呂は除く)。場所が変わったらそんなにいいものにも聴こえないかもしれないから。自分の部屋で閉じこもって聴いてるせいで、のめりこみすぎてるのかもしれないから。
 だけど、キッチンで冷蔵庫に寄りかかってアイス食べながらとか、居間でエアロバイク漕ぎながら、それとか廊下に横になって聴いたり、ベランダで日光を浴びながら聴いても、やっぱりちょっと笑っちゃうし、気がつくとイヤホンが熱くなるまで集中してしまう。
 それで、次は外で聴いてみた。 p.93

 

 

不登校のリスナー男子くん、両親と仲良くて微笑ましい。家族との連絡手段Discordなんだ……
ハンドクラップダンス? 調べたらむしろ足と手をタッチしててキツそう

 

 

読み終えた。

えっ!? 第4回で紹介してたポッドキャスト番組、実在するんだ…… 奥付けで知った衝撃の事実。ぜんぶ架空とばかり思っていた。でもその後でキタニタツヤとか新しい学校のリーダーズとかbase ball bearとか実在アーティスト紹介回あったしな。
ゆとたわが実際に聴けるという喜びよ。

 

主人公?の男の子、転校しちゃった友達の高柳くんのこと好きすぎでかわいい。Big Loveじゃんこんなの。

 

夏休み限定のつもりだったとはな〜 学業優先はそりゃそうすべきなんだけど、真面目で禁欲的だよな〜 それは大きな物語がないままにマジでほぼポッドキャストの文字起こしだけで一冊の小説として走り切ったこの作品そのものにも言える>禁欲的

 

最後には、ポッドキャストは終わらずとも、不登校のリスナー男子が自分でもポッドキャストを始めるために学校で仲間を探そうと決意するという、やや前向きで座りのいい締めくくり。やっぱりこの小説の主人公は彼であって、これはポッドキャストをやる女子4人の話というよりも、それを熱心に聴いて文字起こしする1人の男の子の話なんだな。


ポッドキャスト外の描写が皆無なので、彼女たちが作中世界に実在してるかすら分からないし。ぜんぶ演技だったらどうしよう。本当に禁欲的だ。


どこまでもリスナーの話。配信する側の物語ではない。だから、男子も配信する側に回ろうと決めたところで物語は終わる。あとは小説として描くのではなくポッドキャストを聴けばいいから。(最後まで匿名なのも普遍的なリスナーの表象として造形しているのだろう)

 

でも、正直なところをいえば、もっと普通の、ポッドキャストをやっている女子4人の普段の生活も含めた小説が読みたかったし、この先の男の子のポッドキャスト奮闘記も読みたかったよ。。

 


東北か北海道っぽいよな 居住地
北陸って線もあるのか?

 

 

 

 

 

 

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