『マクベス』W. シェイクスピア

シェイクスピア全集 (3) マクベス (ちくま文庫) 作者:W. シェイクスピア 筑摩書房 Amazon 『ドン・キホーテ 前篇』(1605)の発表年とほとんど同時期にシェイクスピア四大悲劇が書かれていたと知ってモチベが上がったので、ちょうどこないだ買っていた『マク…

『同時代ゲーム』(1)大江健三郎

大江健三郎全小説 第8巻 (大江健三郎 全小説) 作者:大江 健三郎 講談社 Amazon 自分が激推ししている無料同人ノベルゲーム『みすずの国』をやってくれた友人に、「これが好きなら『同時代ゲーム』を読んだほうがいい」と言われたのですぐに図書館へ向かった…

『ドン・キホーテ 前篇』(1)セルバンテス

ドン・キホーテ 前篇一 (岩波文庫) 作者:セルバンテス,牛島 信明 岩波書店 Amazon 岩波文庫の『ドン・キホーテ 前篇』第1巻を読んだ。序文と第1部〜第3部が収録されている。 京都文フリへ行く阪急電車のなかで読み始めた。まだ序文の途中だが、訳注によると…

『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』(1)ジュノ・ディアス

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ジュノ ディアス 新潮社 Amazon 4年くらい前に買って積んでいたのを、ふと読み始めた。 第2章まで読んだ。 ・第1章 1章おわり。約70/400ページ 文章はかなりポップで読みやすい。アメリカ的…

「スペシャリストの帽子」「ザ・ホルトラク」ケリー・リンク

スペシャリストの帽子 (ハヤカワ文庫FT) 作者:ケリー リンク 早川書房 Amazon 『マジック・フォー・ビギナーズ』の表題作しかまだ読んでいないが、中古で注文した第一短編集『スペシャリストの帽子』が届いたので、こちらの表題作も読んでしまった。 スペシ…

「マジック・フォー・ビギナーズ」ケリー・リンク

マジック・フォー・ビギナーズ (ハヤカワepi文庫) 作者:ケリー・リンク 早川書房 Amazon 数年前に、今はなき地元の駅前大型書店で購入してからずっと積んでいたのを、知人の度重なる激推しもあり、ようやく表題作を読んだ。 ・「マジック・フォー・ビギナー…

「ひかりごけ」武田泰淳

・武田泰淳「ひかりごけ」(1954) 新潮社『日本文学全集 33 武田泰淳』で読んだ。引用部のページ数もそこから。 日本文学全集 33 武田泰淳 新潮社 作者:新潮社 ノーブランド品 Amazon 羅臼ってなんか聞き覚えあるな、と思ってグーグルマップを開いたら、数…

『縛られた男』(2)「夜の天使」イルゼ・アイヒンガー

hiddenstairs.hatenablog.com こちらの記事を投稿してから数ヶ月放置していたが、アイヒンガーの気分にふとなったので1編「夜の天使」を読んだ。 ・夜の天使 文章がヤバすぎる。アイヒンガーやっと本気出してきたか……って感じ 冒頭の段落がめっちゃヤバいの…

『乙女の密告』赤染晶子

negishiso.hatenablog.com こちらの記事で絶賛されており、面と向かっても「じゃあ読んだほうがいいです」と言われたので図書館で読んだ(単行本のほう)。すごく良かった。日本にこんな作家がいたとは…… プロットも文章も非常に面白い。 バスが次のバス停に…

『十字架』重松清

※この記事の文章は、さきほどnoteに投稿したものと同じです。 十字架 (講談社文庫) 作者:重松清 講談社 Amazon 小学校の頃から重松清が好きだった。 特にこの『十字架』という小説は、自分にとってかなり印象深い本だ。これを読んでいたのは小学校を卒業する…

『車輪の下』(1)ヘルマン・ヘッセ

義務教育で読んだ「少年の日の思い出」を除けば、初ヘッセ。「お前好きそうなのに読んでないの意外」と複数名に言われながらもここまで通ってこなかった。 『荒野のおおかみ』とか『ガラス玉演戯』とかを本当は読みたいのだけれど、そうした後期の名作をじゅ…

『縛られた男』(1)イルゼ・アイヒンガー

20世紀のユダヤ系オーストリア作家であるイルゼ・アイヒンガーの短編集で唯一邦訳されている『縛られた男』を借りてきた。 縛られた男 作者:イルゼ アイヒンガー 同学社 Amazon じぶんが愛読している読書ブログのひとつである『もれなくついてくる何か』にて…

「黒い豚の毛、白い豚の毛」閻連科

書店で閻連科の新刊『心経』をパラ読みして「世界五大宗教の信徒たちが一堂に会して綱引きをする」的なあらすじにめっちゃ面白そう!!!となり、しかし長篇に手を出すのにビビってまずは短篇集から……ということで、図書館で自薦短篇集『黒い豚の毛、白い豚…

『踊る自由』大崎清夏

おとといの夜、雨が降りしきる新宿をわたしは歩いていた。わたしの隣にはお腹をすかせた人が歩いていて、わたしはその人に連れられるままに、ブックファーストへ向かった。地下の入口へ下る階段に、まるで映画の撮影をしているかのように、ダイナミックに寝…

『ヴァインランド』(7)トマス・ピンチョン

hiddenstairs.hatenablog.com やや時間が空いてしまいましたが、12章をやっと読みました。 12章 (pp.315-383) <あらすじ> (フレネシに撃たれて?)サナトイドとなったウィード・アートマンの遍歴 84年、カリフォルニアの北の奥にある心霊スポット〈ブラ…

『別荘』ホセ・ドノソ

「わからない、わからないわ。その話には分厚いベールを掛けておきましょう」(p.60) 現代企画室から、ラテアメ邦訳界のシバニャンこと寺尾隆吉氏による翻訳で出ているホセ・ドノソ『別荘』を読んだ。550ページ、鈍器と呼べる小説を最後まで読み切れたのは…

『エバ・ルーナのお話』(1)イサベル・アジェンデ

エバ・ルーナのお話 (文学の冒険シリーズ) 作者:イサベル アジェンデ 国書刊行会 Amazon これまでに読んだアジェンデは、岩波文庫『20世紀ラテンアメリカ傑作選』に入っていた「ワリマイ」のみ。 『精霊たちの家』に挑む前に、こちらの短篇集に手を出してし…

「物語の終わり」レイナルド・アレナス

世界文学のフロンティア〈5〉私の謎 作者:今福 竜太 岩波書店 Amazon 邦訳があるアレナスのうちで最高傑作だと噂の短篇「物語の終わり」をやっと読んだ。岩波書店『世界文学のフロンティア 5「私の謎」』収録。杉浦勉訳 (本書ではレイナルド・アレーナス表…

『ヴァインランド』(6)トマス・ピンチョン

hiddenstairs.hatenablog.com つづき 10章と11章を読んだ。 10章 (pp.279-295) 〈秒速24コマ〉の回想・フレネシとブロックの出会い <あらすじ要約>プレーリー、タケシ、DLの3人はLAの高層ビルに入っているタケシの探偵事務所へたどり着く。そこで〈秒速2…

『ヴァインランド』(5)トマス・ピンチョン

hiddenstairs.hatenablog.com の続き 9章 (pp.189-278) DLがタケシ・フミモタと出会って相棒になるまでの話 <あらすじ要約> 彼女らを出会わせたのは例の富豪ラルフだった。日本で身に着けた忍術で幼くして格闘会のスターとなっていたDLに惚れ込んだラル…

『継母礼讃』マリオ・バルガス=リョサ

「ママのことさ、パパ、ほかのだれもテーマになんかならないよ」と、フォンチートは手を拍った。「タイトルのようなものもつけたよ。『継母礼讃』て言うんだ。どう?」「なかなかいいね、とてもいい題だね」彼はほとんど考えもしないで、とってつけたように…

『別れ』フアン・カルロス・オネッティ

別れ (フィクションのエル・ドラード) 作者:フアン・カルロス オネッティ 発売日: 2013/10/01 メディア: 単行本 併録されている2つの短篇はすでに読んで記事を書いたが、表題作の中編「別れ」をようやく読み終えた。あ〜長かった。 ・別れ ("Los adioses", …

「天地創造」ドン・デリーロ(『天使エスメラルダ』収録)

天使エスメラルダ: 9つの物語 作者:ドン デリーロ 発売日: 2013/05/31 メディア: 単行本 今読んでいる数冊の小説をバッグに入れ忘れたので、目の前にあった『天使エスメラルダ:9つの物語』を手に取り、冒頭の1編を読んだ。 ・天地創造 ("Creation" 1979年…

「生命線」「最後の恋」「女王人形」「チャック・モール」カルロス・フエンテス

『フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇』の他四篇を読んだ。 生命線 銃殺されるのを待つだけだった革命軍兵士の4人が監獄を脱出し、再び捕らえられ死ぬ リーダー格で主人公のヘルバシオ・ポーラの感情の動きが目まぐるしく身につまされる。 こういうザ・…

「アウラ」カルロス・フエンテス

hiddenstairs.hatenablog.com 前記事に続き、岩波文庫のフエンテス短篇集を読んだ。 ・アウラ 「君」……二人称小説だ!しかも『子供の領分』のような現在形 バス停でバスが停車せずスピード落とすだけってマジかよ。メキシコ…というか海外ではそれが一般的な…

「純な魂」カルロス・フエンテス

ラテンアメリカ文学好きと言っておきながら未だほとんど読んだことがないフエンテス。この作家の名を初めてちゃんと認識したのは、セサル・アイラ『文学会議』──主人公のマッドサイエンティストが尊敬する作家フエンテスのクローンを大量生産して世界征服を…

『ズボンをはいた雲』マヤコフスキー

「自分では到底理解できないようなぶっ飛んだ小説に出会いたくて海外文学を読んでいる」と公言するにも関わらず、詩を一切読まないのはヤバいんじゃないか?という焦りがしばらく前からあった。しかし日本の現代詩にはあまり食指が動かず、薦められた小笠原…

『笑いと忘却の書』ミラン・クンデラ

クンデラ全小説読了。『笑いと忘却の書』『存在の耐えられない軽さ』『不滅』の中期三作の勢いが圧倒的だった。後期では『無知』が良かったかも。 — ロバ (@donkeys__ears) 2021年4月13日 『笑いと忘却の書』を読もうと思ったきっかけはこのツイート 中期三…

『ヴァインランド』(4)トマス・ピンチョン

前回↓のつづき hiddenstairs.hatenablog.com 6, 7, 8章まで読んだ。 6章(pp.102-134) プレーリーの母フレネシの現在の話と、彼女の両親サーシャ/ハブ、それから母方の祖母ユーラ/祖父ジェスの代まで遡る人生記 フレネシがいかに密告まみれの政治的環境(共…

「兎」「アカシア騎士団」金井美恵子

愛の生活・森のメリュジーヌ (講談社文芸文庫) 作者:金井 美恵子 発売日: 1997/08/08 メディア: 文庫 東京でフォロワーさんとオフ会したときに頂いた本 金井美恵子は自分からは読まないだろうな〜と思っていたのでありがてぇ 表題作ではなく、特にオススメさ…